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千一夜
第56章 第八夜 island 二本の電話
「それでも河田さんは採用されたの。まぁ、会社から誘われている河田さんからすれば、採用されたと言うのは変な言い方よね。目出度く……ではないかもしれないけど河田さんは会社に迎い入れられたわけね」
「0対6から逆転したと言うことですね?」
「そういうこと。これも社長の話なんだけど、自分も含めて全員がこの話はなかったことにしようとしてたらしいのね。でも、社長が一人になったときにふと思ったそうよ『あの生意気なクソガキに賭けてみるか』」
「……」
「『あそこまでずけずけとものを言う人間を見たことがない。もしかしたら復活するためにはあのムカつくガキが必要なのかもしれない』そう思ったと社長は言っているわ」
「ムカつくガキ……」
あの河田がムカつくガキだなんて……。
「提示された河田さんの報酬は五千万円」
「五千万円!」
自分には縁のない金額に驚いた。
「ところが河田さんはその金額を辞退したの。年俸は千万でいい。ただし」
「……」
自分から給与を下げろと言う馬鹿はこの世にはいない……はずだ。
「ただし、臨時株主総会では自分にストックオプションを付与する特別決議も承認して欲しい」
「ストックオプション?」
「そう、ストックオプション。河田さんは社長たちの前でこう言ったそうよ『自分はリリーフだ。だが、株主や世間はそのリリーフが本気なのか、それともお飾りとして会社の幕引き係にやって来たのかを見ている。僕は本気でこの会社を立て直す』」
「それでどうなったんですか?」
「臨時株主総会が開かれて、河田さんを取締役に選任すると言う議案が賛成多数で承認され、河田さんのストックオプションだけでなく、会社が提案したすべての議案も賛成多数で承認されたわ」
「会社にとっても河田さんにとっても良かった? ということですか?」
「この会社が潰れずに今も存在していると言うことを考えれば、良かったと言うことになるでしょうね。ややこしいこの時代に会社の業績は絶好調だし、社内の実質的なナンバーワンは河田さんだと言われているんだから」
「ナンバーワンということは、社長よりも上と言うことでしょうか?」
「そう言うこと。専務取締役が社長より上なのよ、あの会社」
「……」
「当り前のことだけど、河田さんの本当の仕事は専務になってからなの。でも河田さんは天才」
「天才?」
「そう、天才」
「……」
「0対6から逆転したと言うことですね?」
「そういうこと。これも社長の話なんだけど、自分も含めて全員がこの話はなかったことにしようとしてたらしいのね。でも、社長が一人になったときにふと思ったそうよ『あの生意気なクソガキに賭けてみるか』」
「……」
「『あそこまでずけずけとものを言う人間を見たことがない。もしかしたら復活するためにはあのムカつくガキが必要なのかもしれない』そう思ったと社長は言っているわ」
「ムカつくガキ……」
あの河田がムカつくガキだなんて……。
「提示された河田さんの報酬は五千万円」
「五千万円!」
自分には縁のない金額に驚いた。
「ところが河田さんはその金額を辞退したの。年俸は千万でいい。ただし」
「……」
自分から給与を下げろと言う馬鹿はこの世にはいない……はずだ。
「ただし、臨時株主総会では自分にストックオプションを付与する特別決議も承認して欲しい」
「ストックオプション?」
「そう、ストックオプション。河田さんは社長たちの前でこう言ったそうよ『自分はリリーフだ。だが、株主や世間はそのリリーフが本気なのか、それともお飾りとして会社の幕引き係にやって来たのかを見ている。僕は本気でこの会社を立て直す』」
「それでどうなったんですか?」
「臨時株主総会が開かれて、河田さんを取締役に選任すると言う議案が賛成多数で承認され、河田さんのストックオプションだけでなく、会社が提案したすべての議案も賛成多数で承認されたわ」
「会社にとっても河田さんにとっても良かった? ということですか?」
「この会社が潰れずに今も存在していると言うことを考えれば、良かったと言うことになるでしょうね。ややこしいこの時代に会社の業績は絶好調だし、社内の実質的なナンバーワンは河田さんだと言われているんだから」
「ナンバーワンということは、社長よりも上と言うことでしょうか?」
「そう言うこと。専務取締役が社長より上なのよ、あの会社」
「……」
「当り前のことだけど、河田さんの本当の仕事は専務になってからなの。でも河田さんは天才」
「天才?」
「そう、天才」
「……」

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