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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
JR京都駅近くのホテルのレストランに予約の電話を入れた。年末ではあったが、幸い席を取ることが出来た。運転手の竹内のことを考えて私は日本料理を選んだ。咲子も私の選択に異論はなかったようだ。
食事を済ませた私たち三人は、竹内の運転する車で私たちの街に向かった。
車が高速に乗る。
「竹内さん、次のサービスエリアで休みましょう。竹内さんもお疲れでしょう」
「そうね。竹内、今日は本当にお疲れ様」
「ありがとうございます。それでは次のサービスエリアで休憩をいただきます」
そのとき、CDが私の目に留まった。手を伸ばしてCDを取る。
「どんな曲が入っているんだろう?」
「心霊音とか、そういうの私無理だから」
「そんな音をわざわざCDに入れるかな。竹内さんも言っていたが、感じのいい人なんだろ。だったらそういう心配はないと思うよ」
「そういう心配って心霊音?」
「そう」
「サービスエリアに着いたら聴いてみるか」
「覚悟してた方がいいわよ、市長への苦情かもしれないから。ふふふ」
それから三十分ほど走って、車はサービスエリアに入った。十五分ほど休んで、出発する前にCDプレーヤーにCDを挿し込んだ。
ピアノの音がしたとき、私はどきりとした。
トリコロールの店長が好きだった曲だ。ピアノマンは人生の喜びを歌っている。でもこの曲は……店長は何と言ってだろうか……。そうだ、彼はこう言っていた。
『生きることって難しんだよ。だってそうじゃないか、長谷川君はもしかしたらここから三十m離れた喫茶店で働いていたかもしれない。でも長谷川君はここにいる。そして僕から美味しいナポリタンの作り方を教わっている。トリコロール特製ナポリタン。人生にはいくつも岐路がある。いやいや岐路が待ち構えているんだな。それを選ぶのは自由だ。間違えたら修正すればいい。歳を取ったからと言って諦めることはない。人生は長い。だからいくつもの道を歩く。悲しいことも嬉しいことも、道を歩けば待っている。生きるってややこしいよな』
そして彼はこう続けた。
『京子ちゃんにはちょっと難しかったかな』
彼はこの曲を聴きながら私たちにこう語ったのだ。
立花京子はこの曲を忘れていなかった。
エルトンジョンがピアノを奏でながら“グッバイ・イエロー・ブリック・ロード”を歌う。
食事を済ませた私たち三人は、竹内の運転する車で私たちの街に向かった。
車が高速に乗る。
「竹内さん、次のサービスエリアで休みましょう。竹内さんもお疲れでしょう」
「そうね。竹内、今日は本当にお疲れ様」
「ありがとうございます。それでは次のサービスエリアで休憩をいただきます」
そのとき、CDが私の目に留まった。手を伸ばしてCDを取る。
「どんな曲が入っているんだろう?」
「心霊音とか、そういうの私無理だから」
「そんな音をわざわざCDに入れるかな。竹内さんも言っていたが、感じのいい人なんだろ。だったらそういう心配はないと思うよ」
「そういう心配って心霊音?」
「そう」
「サービスエリアに着いたら聴いてみるか」
「覚悟してた方がいいわよ、市長への苦情かもしれないから。ふふふ」
それから三十分ほど走って、車はサービスエリアに入った。十五分ほど休んで、出発する前にCDプレーヤーにCDを挿し込んだ。
ピアノの音がしたとき、私はどきりとした。
トリコロールの店長が好きだった曲だ。ピアノマンは人生の喜びを歌っている。でもこの曲は……店長は何と言ってだろうか……。そうだ、彼はこう言っていた。
『生きることって難しんだよ。だってそうじゃないか、長谷川君はもしかしたらここから三十m離れた喫茶店で働いていたかもしれない。でも長谷川君はここにいる。そして僕から美味しいナポリタンの作り方を教わっている。トリコロール特製ナポリタン。人生にはいくつも岐路がある。いやいや岐路が待ち構えているんだな。それを選ぶのは自由だ。間違えたら修正すればいい。歳を取ったからと言って諦めることはない。人生は長い。だからいくつもの道を歩く。悲しいことも嬉しいことも、道を歩けば待っている。生きるってややこしいよな』
そして彼はこう続けた。
『京子ちゃんにはちょっと難しかったかな』
彼はこの曲を聴きながら私たちにこう語ったのだ。
立花京子はこの曲を忘れていなかった。
エルトンジョンがピアノを奏でながら“グッバイ・イエロー・ブリック・ロード”を歌う。

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