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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
 父親の名前は江村隆、姉は江村京子だと保護された都子は言った。江村京子……。  
 私はその記事を読んでも比較的冷静でいられた。おそらく沢田絵里になりすました人間が登場するのではないかという気がしたし、その人物が都子ではないかと思っていたからだ。
 この記事を書いた記者は警察発表をそのまま記事にした。社説と違い、事件や事故に記者の思いを反映させることは絶対にない。記者は警察発表をそのまま書く。しかし記者は警察発表に疑問を持ったのだ。だから記事の上に大きな「?」を記した。
 ならば、なぜ記者は警察発表に「?」をつけたのであろうか?
 私はパソコンがある書斎に向かった。椅子に座り机の上のパソコンを立ち上げる。それから私は秋田県のI岳を調べた。標高が1075m、避難小屋はあるようだが、山小屋はない。避難小屋があるということは、登山の初心者が子供を連れて向かうような山ではないということではないか(登山の経験がない人間の予想)。
 もしかしたらI岳の麓に森林公園のような施設があるのではないかと調べてみたが、そういう子供向きの施設は見当たらなかった。
 I岳周辺に範囲を広げて調べてみる、するとI岳の近くに標高が385mのO山という山を私は見つけた。そしてそのO山の麓にアスレチック施設があった。
 アスレチック施設を検索すると、今でもその施設は運営されていることが分かった。アスレチック施設のホームページには子供たちが笑顔で遊具を使って遊んでいる姿の写真が多く掲載されていた。
 疑問その一、なぜ江村親子はO山ではなくI岳に向かったのか? 
 疑問その二、この日秋田県は広い範囲で雨が降っていた。場所によっては大雨注意報が出された地域もあると言う。おそらく天気予報でも雨の予報が出ていたはずだ。そんな日にハイキングに行くであろうか?
 疑問その三、雨と知ってて山に行くのにレインウエアを持っていなかったのはなぜか?
 警察は江村都子の証言をそのまま信じたのだろうか? 話の整合性というより、そもそも江村都子の話の出発点が妙なのだ。
 不思議な話だ……、いや、違うかもしれない。
 まさか……、それはあり得ない。そんなことをするはずがない。
 電話をするのはつらいが、すべてを知ってるあの人に私は明日連絡を取るつもりだ。ただ、江村隆も江村京子も私たちの世界にはもういない。私はそんな気がした。
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