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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
白い雲が流れていく様子を私は市長室の窓からぼんやり眺めていた。心を空っぽにしたいのだが、残念ながら今の私にはそれができない。
私の頭の中に走馬灯があって、それが止まることなく回り続けている。止まれと叫んでも私の願いが叶うことはない。無視しても、回り灯篭は勝手に私の頭の中に映像を映し出す。
案の定、遠海舞は私の電話に不快感を隠すことがなかった。予想していたが、今私が江村都子のことについてすがれる人間は遠海しかいない。
昼の十二時を少し回った頃、遠海に電話をしたら「三十分後に掛けなおしてくれないか」と言われた。私は雲を見ながら時間が過ぎるのを待っている。
後藤に頼めば、事件? のその後について調べてくれるだろう。だがその必要はない。私が知りたいことは、遠海が知っている。そして遠海は江村都子に一番近い人間だ。警察発表をそのまま記事にしてる新聞より、私は遠海が語る言葉を直接聞きたい(後藤には申し訳ないが)。
十二時半、私は携帯から遠海に電話を掛けた。
「はい、遠海です」
「度々すみません、長谷川です」
まず私は、私が抱いた三つの疑問を遠海に訊ねた。それに対して遠海はこう答えた。
「長谷川さんだけでなく、みんなそう思っていたんです。何であんな所に行ったの? って。警察も、マスコミもそのことについては黙っていましたが、噂は広がりました。都子ちゃんたちはハイキングに行ったのではない。おそらく心中しに行ったんだって。大雨の日にハイキングなんか行きませんよ」
私もそう思う。
「心中する理由なんですが、例えば経済的な問題を抱えていたとか?」
「それはないと思います。都子ちゃんのお父さんは公務員でした。都子ちゃんのお父さんは警察官だったんです」
「警察官!」
大きな声を出してしまった。
「都子ちゃんのお父さんはギャンブルをしなかったようだし、借金もなかったって聞いています。心中する理由なんて周りの人間にはわかりませんよ」
何を悩んでいるかなんて誰にもわからない。
「その後、都子さんのお父さんとお姉さんは発見されたんですか?」
「いいえ。大規模な捜索は一月ほど続きました。でもそれが過ぎると、捜索に向かう人たちが減っていきました。半年後、捜索は打ち切られました」
「最後に一つ。都子さんとお姉さんの京子さんは双子なんじゃないですか?」
「その通りです」
私の頭の中に走馬灯があって、それが止まることなく回り続けている。止まれと叫んでも私の願いが叶うことはない。無視しても、回り灯篭は勝手に私の頭の中に映像を映し出す。
案の定、遠海舞は私の電話に不快感を隠すことがなかった。予想していたが、今私が江村都子のことについてすがれる人間は遠海しかいない。
昼の十二時を少し回った頃、遠海に電話をしたら「三十分後に掛けなおしてくれないか」と言われた。私は雲を見ながら時間が過ぎるのを待っている。
後藤に頼めば、事件? のその後について調べてくれるだろう。だがその必要はない。私が知りたいことは、遠海が知っている。そして遠海は江村都子に一番近い人間だ。警察発表をそのまま記事にしてる新聞より、私は遠海が語る言葉を直接聞きたい(後藤には申し訳ないが)。
十二時半、私は携帯から遠海に電話を掛けた。
「はい、遠海です」
「度々すみません、長谷川です」
まず私は、私が抱いた三つの疑問を遠海に訊ねた。それに対して遠海はこう答えた。
「長谷川さんだけでなく、みんなそう思っていたんです。何であんな所に行ったの? って。警察も、マスコミもそのことについては黙っていましたが、噂は広がりました。都子ちゃんたちはハイキングに行ったのではない。おそらく心中しに行ったんだって。大雨の日にハイキングなんか行きませんよ」
私もそう思う。
「心中する理由なんですが、例えば経済的な問題を抱えていたとか?」
「それはないと思います。都子ちゃんのお父さんは公務員でした。都子ちゃんのお父さんは警察官だったんです」
「警察官!」
大きな声を出してしまった。
「都子ちゃんのお父さんはギャンブルをしなかったようだし、借金もなかったって聞いています。心中する理由なんて周りの人間にはわかりませんよ」
何を悩んでいるかなんて誰にもわからない。
「その後、都子さんのお父さんとお姉さんは発見されたんですか?」
「いいえ。大規模な捜索は一月ほど続きました。でもそれが過ぎると、捜索に向かう人たちが減っていきました。半年後、捜索は打ち切られました」
「最後に一つ。都子さんとお姉さんの京子さんは双子なんじゃないですか?」
「その通りです」

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