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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
 予想通り私以外市長選に出る人間はいなかった。選挙を戦わず私は市長になった。
 市長として初登庁の日、役所の玄関を入ると私は職員から花束を貰った。テレビのローカルニュースでよく見るシーン。
 だがそれだけではなかった。私は友人の後藤と林、そして菅野と高橋からも市長就任祝いの花束を受け取った。こういう演出があるとは知らなかったので私は正直驚いた。
 それから広報担当者が私たち五人が並んでいる写真を撮った。撮られた写真は街の広報誌に載せられた。名前だけでなく、四人の肩書も書かれていた。
 おそらく広報担当部署が、わが街の市長の友人は、みんな偉い人間ばかりだと市民に宣伝したかったのだろう。感心できないが、だから言って目くじらを立てるようことでもない。
 登庁日の朝、私は咲子の父遠山高獅に呼ばれた(すでに私と咲子は遠山の家に入っていた)。遠山高獅は私にこう言った。
「市民のために命懸けで働け。市民が安心して暮らすことが出来る街にしろ。そのための君の判断が正しい限り、遠山は君を支える。だが間違ったことをしたら遠慮なく君の首を切る。だとえ咲子が泣いてもだ。わかったか?」
「はい」
「今日から竹内を君の運転手にする。車はクラウン。遠山のロボットが作った車だ」
「ありがとうございます」
「よし。いいか、市長は王様なんかじゃないからな」
「はい」
「夜は直接山翠楼に行け。咲子の父として君の友人らにお礼がしたい」
「ありがとうございます」
 話が終わると咲子の父は私のために茶を点ててくれた。
「お点前頂戴いたします」
 私は一礼して咲子の父が点てた茶を飲んだ。
 生活が大きく変わることはないと思っていたが、市長には市長の生活が待っていた。竹内も昔の部下も私を市長と呼ぶ。できることなら「長谷川さん」と呼んでくれと言いたかったが、そういうわけにはいかない。
 役所の各部署、それから市議会に挨拶をして市長室に向かうと、市長室の前に香坂がいた。
「そんなところで何してんだよ?」
「長谷川に頼みがあんのよ」
「入れよ」
「ここでいいわよ」
「頼みって何だ?」
「私も山翠楼に行っていいかな?」
「どうして?」
「長谷川のお友達様にご挨拶させてくださいな」
「はぁ~。挨拶してもお前の息子や娘の就活が有利にはならないぞ」
「いいえ、もう神頼みです」
「アホ。勝手にしろ」
「サンキュー」
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