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千一夜
第53章 第七夜 幻界の扉
 話し相手を探していたのだろうか、それとも元々話し好きなのか、警戒心が薄れた沢田絵里の実家の隣に住んでいる新藤は急に饒舌になった。
 いろいろと話してくれるのはありがたいのだが、新藤が話す内容は私たちを満足させるものではなかった。
「すみません。先ほど沢田さんの奥様が老人ホームに入居されているとおっしゃられましたが。どういうホームなのでしょうか?」
 私は話題を老人ホームに絞った。
「それがね、高級老人ホームなのよ」
 咲子ばかり見て話していた新藤の目が私にやってきた。
「高級……とは?」
「高級は高級よ、何でも入居時には億というお金が必要なところみたいよ」
「億?」
「そう、億。それに月の費用だって何十万円でしょ? すごいわよね」
「失礼ですが、その費用はどなたが出されているのですか?」
 門扉は錆びだらけ、庭の手入れもされていない家のどこから億と言う金が出されたのだろうか。私は私の疑問を新藤にぶつけてみた。
「ここだけの話なんだけど」
 新藤は声を小さくして話し始めた。
「旦那さんの生命保険? それから月々の費用は絵里ちゃんが何とか工面しているっていう噂なの」
「噂?」
 そう訊ねたのは咲子だった。
「そう、噂。所詮他所様の家のお金の事情なんて、本当のところ誰もわからないわよ。そうでしょ?」
「ええ」
 咲子の代わりに私が答えた。
 高級老人ホームに入居している絵里の母を訪ねても意味などない。
「咲子、新藤さんにあれを見てもらおうか?」
「はい」
 咲子はバーキンからM会で撮られた写真を出した。
「この写真、少し前なんですが私の母校の交流会で撮ったものなんです。この写真に沢田絵里さんが写っているんですが」
「あら、ご主人、大学はK大学なの?」
 私の言葉を遮って新藤はそう言った。
「ええ」
「羨ましいわ。ご主人がK大卒で奥様は専務取締役だなんて、はぁ」
「よくご覧になってください」
 私は新藤にため息をついてもらうために写真を見せたのではない。新藤は咲子から写真を受け取ると写真に顔を近づけた。新藤が写真に写っている人間を確認している。
「ええと、どこかしら?」
 沢田絵里を見つけられなかったのか、新藤はそう言った。
「ここに写っています」
 咲子が写真の端に写っている沢田絵里を指さした。
「この人誰?」
 新藤はそう言った。

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