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千一夜
第53章 第七夜 幻界の扉
ホテル16階インペリアルフロアにあるプレミアスイート。ドアを開けて私と咲子は部屋の中に入った。ソファの前にあるテーブルの上にワインが置かれていた。
「シャトーラトゥール2009の赤よ」
ワインを見た咲子がそう言った。
「何だよそれ?」
「一本二十万かな、もう少し高かったかも」
「二十万! おいおい二十万円のワインなんて飲めないよ」
「じゃあ、返す? できないわよね。だったら飲みましょ」
「はぁ」
私はため息をついた。後藤から受け取った茶の紙袋はテーブルの上に置いた。茶の紙袋にはY新聞社と社名が入っている。
「亮ちゃん、冷蔵庫の中を見て。多分チーズがあると思うんだけど」
そう言って咲子は二人掛けのソファに座った。
「何でわかるんだ?」
「夜に飲む赤ワインのおつまみは大抵チーズよ」
「なるほどね」
冷蔵庫を開けると確かにチーズがあった。
私はチーズを冷蔵庫から出して、咲子の前に置いた。
「すごいわ。ブリア・サヴァランよ」
「値段は言わないでくれ」
「ふふふ」
コルクスクリューがついているソムリエナイフを使って咲子がワインを開ける。ワインを開ける役は咲子と決まっている。私のワインを開ける手つきを見て、咲子は私にワインを開けさせない。要するに私はワインの開け方が下手なのだ。
ワイングラスのワインを注ぐのは私の役目。二人のグラスにワインを注ぐ。
「素敵な夜に乾杯」
咲子がそう言ってから、二人でグラスをカチンと合わせた。それからワインを一口口に含む。芳醇な香りが口中から鼻孔をしなやかに通っていく。
「疲れただろ?」
「大丈夫。それより亮ちゃんのお友達に会えてよかったわ。会うまでは亮ちゃんに親友がいるなんて信じられなかったんだもの」
「別に信じてくれなくていいよ」
「そういう言い方はいけないわよ。市長らしくないわ」
「家庭の中まで俺は市長でなんかいられない」
「そうよね、ふふふ。亮ちゃん、今日はあの話はなしでいいわよね」
咲子は私が置いた紙袋に目をやってそう言った。
「もちろんだ。今夜はワインとプレミアスイートのこの部屋を楽しもう」
「それだけ?」
「後何があるんだ」
私はわざととぼけてそう言った。
「バカ」
「ははは。一番はワインでもこの部屋でもない。冴えない俺と一緒になってくれた咲子だ」
「ふふふ、お風呂一緒に入る?」
「悪くない」
「シャトーラトゥール2009の赤よ」
ワインを見た咲子がそう言った。
「何だよそれ?」
「一本二十万かな、もう少し高かったかも」
「二十万! おいおい二十万円のワインなんて飲めないよ」
「じゃあ、返す? できないわよね。だったら飲みましょ」
「はぁ」
私はため息をついた。後藤から受け取った茶の紙袋はテーブルの上に置いた。茶の紙袋にはY新聞社と社名が入っている。
「亮ちゃん、冷蔵庫の中を見て。多分チーズがあると思うんだけど」
そう言って咲子は二人掛けのソファに座った。
「何でわかるんだ?」
「夜に飲む赤ワインのおつまみは大抵チーズよ」
「なるほどね」
冷蔵庫を開けると確かにチーズがあった。
私はチーズを冷蔵庫から出して、咲子の前に置いた。
「すごいわ。ブリア・サヴァランよ」
「値段は言わないでくれ」
「ふふふ」
コルクスクリューがついているソムリエナイフを使って咲子がワインを開ける。ワインを開ける役は咲子と決まっている。私のワインを開ける手つきを見て、咲子は私にワインを開けさせない。要するに私はワインの開け方が下手なのだ。
ワイングラスのワインを注ぐのは私の役目。二人のグラスにワインを注ぐ。
「素敵な夜に乾杯」
咲子がそう言ってから、二人でグラスをカチンと合わせた。それからワインを一口口に含む。芳醇な香りが口中から鼻孔をしなやかに通っていく。
「疲れただろ?」
「大丈夫。それより亮ちゃんのお友達に会えてよかったわ。会うまでは亮ちゃんに親友がいるなんて信じられなかったんだもの」
「別に信じてくれなくていいよ」
「そういう言い方はいけないわよ。市長らしくないわ」
「家庭の中まで俺は市長でなんかいられない」
「そうよね、ふふふ。亮ちゃん、今日はあの話はなしでいいわよね」
咲子は私が置いた紙袋に目をやってそう言った。
「もちろんだ。今夜はワインとプレミアスイートのこの部屋を楽しもう」
「それだけ?」
「後何があるんだ」
私はわざととぼけてそう言った。
「バカ」
「ははは。一番はワインでもこの部屋でもない。冴えない俺と一緒になってくれた咲子だ」
「ふふふ、お風呂一緒に入る?」
「悪くない」

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