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千一夜
第51章 第七夜 マスカレード
「すみません、ちょっと失礼します」
 前原はそう言うと応接室にある電話を取って電話を掛けた。
「少し待っててもらえますか、今手の空いている職員がここに来ますので」
「はい」
 私はそう返事をして咲子を見た。不安そうな咲子の目が私を待っていた。
 前原は、私が持ってきた写真に何かを感じたのだ。何も思い浮かばなければ、誰かを呼ぶなんてことはしないはずだ。自分の感じたことを他の職員にもぶつけてみる。多分そんなところではないだろうか。
「失礼ですが前原さんは、主人が持ってきた写真とこちらの交流会で撮られた写真に写っている女性を同一人物だとお思いですか?」
 ずっと黙っていた咲子が前原にそう訊ねた。前原が咲子の質問にどう答えるのか、私は前原を窺った。
「ううん……、あくまでも私個人の考えですが、同じ人間のように思います。ただ……何というか雰囲気が全然違いますね。長谷川さんがお持ちになった写真に写っている女性は、昔の言葉で言えばバリバリのキャリアウーマン。そして私どもが撮った交流会の写真に写っている都子さんにはそういう部分が全くない。だからと言って、都子さんの仕事がダメだだったわけではありませんから。仕事は丁寧だったし、見ての通り、都子さん、美人じゃないですか。だから男性から慕われていました。ここだけの話ですが、愛人になれば月に百万出すとか、都子さんにはそういう噂話は多かったですね。都子さんは独身だったから仕方がないのかもしれませんが」
「こんなにお綺麗なのに独身だったんですか?」
 咲子がまた前原に訊ねた。咲子のその疑問は私の疑問でもある。
「お一人で暮らしていたようです」
 結婚などしなくても誰かと一緒に暮らすことはできる。
「つまり結婚はしていなかったということですね?」
 咲子ではなく私が前原に訊ねた。
「……個人情報にかかわる可能性がありますので、そのご質問にはお答えできません。ただ……私の様子から察していただければと思います」
 そのときドアがノックされた。その音の後に「失礼します」という声がした。五人の職員が部屋に入ってきて、私が持ってきた写真を一人一人手に取った。写真を見終わった後、五人は互いの顔を見合わせた。
 最後に写真を手にしている五十代くらいの女性が、五人を代表してこう言った。
「都子さんに間違いありません。この女性は江村都子さんです」
 と。
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