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千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
「秋田には俺一人で行くよ」
「絶対に許しません」
咲子はそう言って私を睨んだ。
「長谷川さん、わざわざ秋田に行く必要なんてないですよ。俺から向こうのJ〇に連絡してできる限り調べてみます。それにこのご時世ですから、向こうだって教えたくても長谷川さんには言えないこともあると思うんです。無駄足になってしまいます。だから」
「ご主人、ありがとうございます。でも、どうしても自分で調べてみたいんです。それにこの写真の女性が沢田さんだと決まったわけではありません。まぁ。世の中には自分に似ている人間は三人はいると言われますから」
「もう長谷川に何を言っても無理よ。行くと言ったらこの男は絶対に行くわ。幸いなことに今長谷川は無職。長谷川暇なんだもん。それに選挙だって無投票で当選。仮にどこかの間抜けが出てきても長谷川の圧勝は間違いなし。でも長谷川、咲子さんは連れてってやりなよ。市長になったら休暇だからと言って遠出の旅行なんてできなくなるわ。奈良の次は秋田。調べて何もなかったら、新婚旅行の続きだと思えばいいじゃん。でしょ? それとも長谷川、この写真の美人さんに心当たりがあるの?」
「下衆の勘繰りだ。後ろ暗いことなど一つもない」
私は心の中を見透かされないために強がった。
「下衆の勘繰りだって、何でもいいけど、ほどほどにしなさいよ。長谷川、あんたは探偵じゃないんだから。あんたはこの街の次の市長よ。行動には十分注意しなさい」
「ああ」
「留守番かまかせておきなさい。万が一選挙があっても準備だけはしっかりとやっておくから」
「頼む」
「了解よ」
「長谷川さん、本当に俺は何もしなくていいんですか?」
香坂の夫が私にそう訊ねた。
「はい、情報がない真っ新の状態で向こうに行きたいと思います。ただ、向こうのJ〇に連絡をしていただけるとありがたいのですが」
「わかりました。次期市長がそちらに伺うと向こうのJ〇に連絡しておきます」
「次期市長は勘弁してください」
「ははは、わかりました」
秋田に行く。そうは言ったが気持ちが乗らない。写真の女は確かに沢田絵里に似ている。いや、写真の女を沢田絵里だと言っても過言ではない。だが、沢田絵里はあの外資のシカゴコンサルティンググループの社員だったのだ。
いずれにしても答えを探すには秋田に行かなければならい。だから私は“秘密の場所”に向かう。
「絶対に許しません」
咲子はそう言って私を睨んだ。
「長谷川さん、わざわざ秋田に行く必要なんてないですよ。俺から向こうのJ〇に連絡してできる限り調べてみます。それにこのご時世ですから、向こうだって教えたくても長谷川さんには言えないこともあると思うんです。無駄足になってしまいます。だから」
「ご主人、ありがとうございます。でも、どうしても自分で調べてみたいんです。それにこの写真の女性が沢田さんだと決まったわけではありません。まぁ。世の中には自分に似ている人間は三人はいると言われますから」
「もう長谷川に何を言っても無理よ。行くと言ったらこの男は絶対に行くわ。幸いなことに今長谷川は無職。長谷川暇なんだもん。それに選挙だって無投票で当選。仮にどこかの間抜けが出てきても長谷川の圧勝は間違いなし。でも長谷川、咲子さんは連れてってやりなよ。市長になったら休暇だからと言って遠出の旅行なんてできなくなるわ。奈良の次は秋田。調べて何もなかったら、新婚旅行の続きだと思えばいいじゃん。でしょ? それとも長谷川、この写真の美人さんに心当たりがあるの?」
「下衆の勘繰りだ。後ろ暗いことなど一つもない」
私は心の中を見透かされないために強がった。
「下衆の勘繰りだって、何でもいいけど、ほどほどにしなさいよ。長谷川、あんたは探偵じゃないんだから。あんたはこの街の次の市長よ。行動には十分注意しなさい」
「ああ」
「留守番かまかせておきなさい。万が一選挙があっても準備だけはしっかりとやっておくから」
「頼む」
「了解よ」
「長谷川さん、本当に俺は何もしなくていいんですか?」
香坂の夫が私にそう訊ねた。
「はい、情報がない真っ新の状態で向こうに行きたいと思います。ただ、向こうのJ〇に連絡をしていただけるとありがたいのですが」
「わかりました。次期市長がそちらに伺うと向こうのJ〇に連絡しておきます」
「次期市長は勘弁してください」
「ははは、わかりました」
秋田に行く。そうは言ったが気持ちが乗らない。写真の女は確かに沢田絵里に似ている。いや、写真の女を沢田絵里だと言っても過言ではない。だが、沢田絵里はあの外資のシカゴコンサルティンググループの社員だったのだ。
いずれにしても答えを探すには秋田に行かなければならい。だから私は“秘密の場所”に向かう。

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