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千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
作り笑顔でも構わない。カメラを見てにこりと笑えば、後で写真を見る男たちは間違いなく「いい女だな」と言うだろう。ところが、写真の女はそういう賛美を全く気にしていない。
気になることがもう一つ、女の視線が十人の男の誰かに向かっている可能性があるのだ。
「この女性の名前はわかりますか?」
「いや、解散式の後で撮った集合写真だったんで、それにその二人の女性は事務的な仕事をしていて、交流会の席にはほとんどいなかったんですよ」
香坂の夫は私の問いにそう答えた。
「でも誰かを見ているような気がするのよね。まさかあんたこの美人さんにちょっかい出してなんかいないわよね」
鬼のような目で香坂は自分の亭主を見た。
「俺がモテるわけないじゃん。わかるだろ? 俺なんかもうくたびれたおっさんだよ」
「くたびれたおっさんの妻が私って、私に失礼じゃない!」
「あっ!そう言えば白崎君が長谷川さんの名前を出したらこの人から長谷川さんのことを訊かれたんだ」
「何で白崎が長谷川の名前を出すのよ?」
香坂が自分の亭主に疑問をぶつける。
「農政課の課長が役立たずで、長谷川さんに尽力していただいて交流会に来ることが出来たとか、そういうことを白崎君が話したんだ。そしたらこの女性がこう訊ねたんだよ『長谷川さんて、ひょっとして長谷川亮太さんのことですか?』とね。でもって、俺たちがよく知ってるね、とか何とかこの女性に言ったんだ。それで俺たちが『長谷川さんも隅に置けないね』って笑ったんだよ。思い出した思い出した」
香坂の亭主がそう言ったとき、私は咲子の視線を感じた。
「長谷川、あんたこの美人さん知ってたの?」
「知らないよ」
香坂の質問に私は一瞬ドキリとした。
「で、長谷川、どうすんのよ?」
「……」
香坂の質問に答えるまでもない。私はもう決めていた。
「すごく嫌な予感がするんですけど。まさか長谷川、秋田になんか行かないわよね?」
「沢田さんがいなくなった。その沢田さんに似ている女性が秋田にいる。どうやらその女性は俺のことを知っている。だから俺は秋田に行って調べてくる」
「長谷川さん、この女性の名前だったら俺が向こうのJ〇に電話を掛ければわかりますよ」
「おそらく沢田絵里とは名乗っていないと思います。でもこのままにしておけないんです」
「だったら私も秋田に行きます」
咲子がそう言った。
気になることがもう一つ、女の視線が十人の男の誰かに向かっている可能性があるのだ。
「この女性の名前はわかりますか?」
「いや、解散式の後で撮った集合写真だったんで、それにその二人の女性は事務的な仕事をしていて、交流会の席にはほとんどいなかったんですよ」
香坂の夫は私の問いにそう答えた。
「でも誰かを見ているような気がするのよね。まさかあんたこの美人さんにちょっかい出してなんかいないわよね」
鬼のような目で香坂は自分の亭主を見た。
「俺がモテるわけないじゃん。わかるだろ? 俺なんかもうくたびれたおっさんだよ」
「くたびれたおっさんの妻が私って、私に失礼じゃない!」
「あっ!そう言えば白崎君が長谷川さんの名前を出したらこの人から長谷川さんのことを訊かれたんだ」
「何で白崎が長谷川の名前を出すのよ?」
香坂が自分の亭主に疑問をぶつける。
「農政課の課長が役立たずで、長谷川さんに尽力していただいて交流会に来ることが出来たとか、そういうことを白崎君が話したんだ。そしたらこの女性がこう訊ねたんだよ『長谷川さんて、ひょっとして長谷川亮太さんのことですか?』とね。でもって、俺たちがよく知ってるね、とか何とかこの女性に言ったんだ。それで俺たちが『長谷川さんも隅に置けないね』って笑ったんだよ。思い出した思い出した」
香坂の亭主がそう言ったとき、私は咲子の視線を感じた。
「長谷川、あんたこの美人さん知ってたの?」
「知らないよ」
香坂の質問に私は一瞬ドキリとした。
「で、長谷川、どうすんのよ?」
「……」
香坂の質問に答えるまでもない。私はもう決めていた。
「すごく嫌な予感がするんですけど。まさか長谷川、秋田になんか行かないわよね?」
「沢田さんがいなくなった。その沢田さんに似ている女性が秋田にいる。どうやらその女性は俺のことを知っている。だから俺は秋田に行って調べてくる」
「長谷川さん、この女性の名前だったら俺が向こうのJ〇に電話を掛ければわかりますよ」
「おそらく沢田絵里とは名乗っていないと思います。でもこのままにしておけないんです」
「だったら私も秋田に行きます」
咲子がそう言った。

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