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千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
 これを和やかな雰囲気というのだろう。しかしこの時間は長く続かない。私も咲子も写真に写っている香坂が言う“美人さん”を確認したい。
「香坂さん、写真を見せていただけますか?」
 私は香坂の夫にそう頼んだ。香坂の夫を呼び捨てにはできない。
「ああ、申し訳ない。おい、あれを出してくれ」
 香坂の夫は香坂にそう言った。香坂がトートバックからアルバムを出し、そのアルバムに挟んでいた横長の2L版の写真を取り出した。そしてそれを私と咲子が見やすいようにテーブルに置いた。
 一人二人三人……、合計十二人が写っている。写真の右端に女性が二人。二人とも制服を着ていた。一番端の女性。見覚えがある。いやこの女性は間違いなく沢田絵里だ。
 私は息をすることを忘れてしまったみたいだ。もしかしたら数秒私の心臓は止まっていたのかもしれない。
 私は自分の隣に座っている咲子に顔を向けた。咲子は私の顔が自分に向かってくることを予想していた。私は無言で咲子の目にこう訴えた。
「どうだ?」
 と。
 咲子の目は、私にこう返した。
「沢田さんだと思う」
 と。
「香坂さん、この写真はどちらで撮られたものなのでしょうか?」
 私が香坂の夫にそう訊ねると。私の問いに答えたのは香坂だった。
「長谷川、覚えてないかな、去年の秋に街の農業団体が交流会で秋田県の○○市に招かれたことを」
「農政課から白埼君が同行したあれか?」
「そう、予算が下りなくてさ、長谷川が白崎をつけることで団体に予算を付けてくれたじゃん」
「ということは○○市のJ〇で撮られた写真ということですか?」
「そうです。交流会の解散前に向こうの事務所の前で撮った写真です」
 香坂の夫がそう答えた。
「なるほど」
 私の心に一つのワードが引っかかる。それは秋田という地名。
「長谷川、その写真何か変だと思わない?」
 香坂が私にそう訊ねた
「だからお前はこの写真のことを覚えていたのか?」
「その通り。ねぇ、どこが変なのかわかる?」
 香坂はもう一度私に訊ねた。
「この写真を見ていると気分が悪くなるわ。というか怖い」
 香坂の問いに答えたのは咲子だった。
「長谷川はどうなのよ?」
「薄気味悪い。みんな笑顔だ。だが一人だけ口角を少しだけ上げて妙な笑い方をしてる。そして……」
「そして?」
 香坂が言葉の先を促す。
「そいつだけカメラを見ていない」
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