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千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
「これ水よね?」
「そうだけど」
「ひょっとして水道水?」
 香坂は私がテーブルに置いたコップを見てそう言った。
「お前が喉が渇いたと言ったから水を出したんだ」
「お茶くらい出しても買収にならないと思うんだけど」
「咲子の父は厳しい人だと言うことくらいわかっているだろ?」
「わかってますよ。でもさ、やっすいお茶くらいで真っ当な人間は買収なんてされません」
「いちいちうるさいな、だったら飲むなよ」
 私がコップを取ろうとしたが、その前に香坂の手が〇〇街の水道水の入ったコップを掴んだ。
「ねぇ、それに選挙事務所がこんな小っちゃな家でいいの?」
 私は自分が建てた小さな平屋の家を選挙事務所にした。小さな家には物が少なかったので改装するのも数日で済んだ。かつてリビングだったところにはスチール机が二台。ソファはそのまま使っている。
「いいも悪いも、金がないんだ」
 家のローンで苦しむことはないが、その分貯えは多くない
「遠山は? 会長は選挙資金とか貸してくれないの?」
「自分の力で戦え。それが会長の言葉だ」
「はぁ……何だか侘しい」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味。次期市長の選挙事務所で出されるのは街の水道水だけ……はぁ」
「失礼なやつだな」
「でも、十二月に市長選挙なんてないわ。農業団体だけでなく、各町内の自治会も長谷川を応援することに決めたし、商店街の組合も長谷川支持。そして他に名乗り出るもの無し。無投票当選よ」
「まだわからん」
「わかるわよ。役所にいるとさ、いろいろなことが耳に入ってくるのよ。それに一昨日の朝刊がダメ押しだったわね。遠山のお嬢様とのツーショット。行政経験豊富なK大出の長谷川さん。これを見て立候補しようなんて人間がいる? いるわけないじゃん」
「……」
 香坂の言っていることに間違いはない。
「でも長谷川、強敵が一人いるわよ。長谷川を木っ端みじんに粉砕するバケモノのような強敵」
「強敵? 誰だよ?」
「長谷川咲子さん」
「ふん」
「何がふんよ。あのお嬢様、長谷川なんかにはもったいないわ。金持ちの我儘娘だと思っていたけど全然違うんですもの。品があってさ、そしてめちゃくちゃ優しいでしょ。長谷川、奥さん大事にしなさいよ。喧嘩なんてもっての外。わかった?」
「ゴルフで負けたときにはぐちぐち言ってたくせに」
「それと……あの人のことだけど」
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