この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
 参拝を終え、私と咲子は御朱印を拝受するために授与所に向かった。御朱印を受けるとき、咲子は「ありがとうございました」と言って頭を深く下げた。私も「ありがとうございました」と言って咲子に倣った。
「しまった!」
 私と咲子を待っている樋口の車に向かているときに、私はとても大切なことを思い出した。
「どうしたの?」
 咲子が私に訊ねた。
「最初は禊殿にお参りしなければならなかったかもしれない」
「禊殿?」
「ああ、鎮魂殿とも言う。間違えたかかな」
「樋口さんに訊いてみましょ」
「そうだな」
 樋口は私たちを認めると、車を降りて後部座席のドアを開けた。
「樋口さん、禊殿に行ってもらえますか?」
 車に乗り込み、私は樋口にそう頼んだ。
「はいな」
 元気のいい樋口の返事。
「樋口さん、私たち参拝の順番間違えたかもしれないの」
 私ではなく咲子が樋口にそう言った。
「順番? 何ですその順番て?」
「この天川大弁財天社では禊殿を最初にお参りするんじゃないの?」
「ははは、奥さん、神様は学校の先生とは違います。神様は心が広いんや。あっちが最初とかこっちが後なんて、たとえ間違えたとしても怒らしまへん。そんなん気にせんでええがな。それより手を合わせてお参りしてくれることを神様は喜んでます。違いまっか、ははは」
 樋口はそう言って豪快に笑った。
 その通りだと思った。やり直しなんてしたらそれこそ神様に笑われる。
 禊殿に到着。参拝の作法は変わらない。鳥居の前で一拝。端を歩いて鳥居をくぐる。姿勢を正してここまで来ることが出来たことを感謝する。二拝二拍手一拝。
 車に戻ると先ほど同様樋口が後部座席のドアを開けてくれた。車に乗り込む。滑らかに車が発進した。
「ご主人、ええ顔してはりますで」
「えっ?」
 樋口が何を言っているのかわからなかった。
「政治家いうもんは、ご主人みたいな顔をせなあかん。言うたらなんやけど、昨日なんてこんな人で市長が務まるんか思うてましたわ。そやけど今は違う。ええ顔や。ええ面構えや。ふるさと納税みたいなもんで、ふるさと選挙があったら私はご主人に一票入れさせてもらいますで」
「ふふふ」
 咲子が笑った。
「奥さん、どないしはったん?」
「樋口さん、さっき主人、涙を流して私を幸せにすると言ったのよ、ふふふ」
「おい、恥ずかしいじゃないか。そんなこと言うなよ」
/632ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ