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千一夜
第50章 第七夜 秘密の場所
拝殿の正面に私は咲子と並んで立った。
私は姿勢を正して天川大弁財天社の神様にこう誓った。
「○○市から参りました長谷川亮太、そして妻の長谷川咲子でございます。私は妻咲子を必ず幸せにします。十二月に行われます○○市長選では私が当選出来ますようよろしくお願いいたします。○○市の市長となりましたら、○○市民の生活を命懸けで守ってまいります」
そのとき私は神様の声をきいた。
「本当だな」
「はい。命を懸けて私は自分の言葉を守ってまいります」
「よし」
「ありがとうございました」
天川大弁財社の五十鈴に繋がる鈴緒は咲子では私が持った。私の手に咲子の手が添えられた。
樋口が咲子にアドバイスしたとおりに私は勢いよく鈴緒を回した。鈴が鳴った。それから鈴緒を放して私と咲子はもう一度姿勢を正した。
二拝二拍手一拝。頭を上げ、隣の咲子を見ると咲子の願い事はまだ済んでいなかった。咲子が何を祈っているのかわからない。私の目から涙がこぼれた。そして願い事が済んだ咲子と目が合った……いやいや、咲子の目は私の頬を流れている涙を見ていた。
「咲子」
「何?」
「俺は君を必ず幸せにする。○○市の市長になって市民のみんなが幸せになるように仕事をする。だから……」
「だから、何?」
「だから投票用紙には長谷川亮太と君に書いて欲しい。頼む」
私は咲子に頭を下げた。
「長谷川亮太と書かせていただきます。がんばってね」
「もちろん」
「ふふふ」
私は咲子を抱きしめた。幸いなことに周りには誰もいない。公序良俗に問われることはないだろう。ただ、後で神様からお𠮟りを受けるかもしれない。
「二人だけの結婚式だな」
「ふふふ」
「何が可笑しんだ?」
「亮ちゃんが文学青年だとは思わなかったから」
「俺だって本は読むさ」
「二人だけの結婚式って何だかとっても素敵ね」
「そうかな、ありきたりの台詞に聞こえなかったか?」
「聞こえたわ、ふふふ」
「何だよ、ははは」
天川大弁財天社の境内に入るまで、私は逃げ道を探していた。市長なんて自分でなくても誰かがやってくれる。市の体育館館長でもそれはそれでいと思っていた。
しかし今、私は絶対に市長になりたい。出世欲が生まれたからではない。○○市のリーダーとして今は命懸けで働きたい。
私に生まれたのはその覚悟だ。
私は姿勢を正して天川大弁財天社の神様にこう誓った。
「○○市から参りました長谷川亮太、そして妻の長谷川咲子でございます。私は妻咲子を必ず幸せにします。十二月に行われます○○市長選では私が当選出来ますようよろしくお願いいたします。○○市の市長となりましたら、○○市民の生活を命懸けで守ってまいります」
そのとき私は神様の声をきいた。
「本当だな」
「はい。命を懸けて私は自分の言葉を守ってまいります」
「よし」
「ありがとうございました」
天川大弁財社の五十鈴に繋がる鈴緒は咲子では私が持った。私の手に咲子の手が添えられた。
樋口が咲子にアドバイスしたとおりに私は勢いよく鈴緒を回した。鈴が鳴った。それから鈴緒を放して私と咲子はもう一度姿勢を正した。
二拝二拍手一拝。頭を上げ、隣の咲子を見ると咲子の願い事はまだ済んでいなかった。咲子が何を祈っているのかわからない。私の目から涙がこぼれた。そして願い事が済んだ咲子と目が合った……いやいや、咲子の目は私の頬を流れている涙を見ていた。
「咲子」
「何?」
「俺は君を必ず幸せにする。○○市の市長になって市民のみんなが幸せになるように仕事をする。だから……」
「だから、何?」
「だから投票用紙には長谷川亮太と君に書いて欲しい。頼む」
私は咲子に頭を下げた。
「長谷川亮太と書かせていただきます。がんばってね」
「もちろん」
「ふふふ」
私は咲子を抱きしめた。幸いなことに周りには誰もいない。公序良俗に問われることはないだろう。ただ、後で神様からお𠮟りを受けるかもしれない。
「二人だけの結婚式だな」
「ふふふ」
「何が可笑しんだ?」
「亮ちゃんが文学青年だとは思わなかったから」
「俺だって本は読むさ」
「二人だけの結婚式って何だかとっても素敵ね」
「そうかな、ありきたりの台詞に聞こえなかったか?」
「聞こえたわ、ふふふ」
「何だよ、ははは」
天川大弁財天社の境内に入るまで、私は逃げ道を探していた。市長なんて自分でなくても誰かがやってくれる。市の体育館館長でもそれはそれでいと思っていた。
しかし今、私は絶対に市長になりたい。出世欲が生まれたからではない。○○市のリーダーとして今は命懸けで働きたい。
私に生まれたのはその覚悟だ。

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