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千一夜
第46章 第七夜 訪問者 既視感
「難しい要望だ。それにそれを完璧に受け入れるのにはおそらく相当時間がかかると思う」
「私を呼び捨てにすることってそんなに面倒なことなの?」
「君を呼び捨てにしなければいけないと言う公式のようなものがあれば今でもできる。でも、そんなのは所詮芝居だ。それでいいのかなと思うわけだよ」
「それでいいわよ。最初は芝居、それで十分。よく世間で言うじゃない。時間が解決してくれるって」
「時間か……」
「それに亮ちゃん、私のパパはめちゃくちゃ亮ちゃんを働かせるわよ。面倒なことを考える暇なんてなくなるわ。私はそっちの方が心配よ」
 咲子は早速私を『亮ちゃん』と呼んだ。そう言えば前にも『亮ちゃん』と呼ばれたことがあった。私を『亮ちゃん』と呼んだ女は……。
「遠山のために仕事をするわけじゃない」
 そうは言ったが、遠山の城下町ではそれが通じない。おんぶにだっこという言葉があるが、この街はずっと遠山に背負われ抱えられている。この状態を一番知っているのは市民だ。遠山がこの街からいなくなるとこの街は終わる。
「それでいいのよ。遠山のために仕事はしない。亮ちゃんにそういう気概があれば、私を呼び捨てにすることなんて簡単なはずだわ」
「気概か……」
「ここ、気概が失せてきたわよ」
 咲子は私のペニスを握った。こんなときにあれこれ考えても結論なんて出るわけがない。私は少し後悔した。
「亮ちゃんのここの気概が戻ってくるように教えてあげるわ」
 牛の乳しぼりのようにして咲子は私のペニスをギュッギュッと握る。
「……」
「亮ちゃん、訊きたいんでしょ?」
 咲子に私の心の中を覗かれてしまった。
「……」
 言葉が出てこない。私の知らない咲子の過去に未練が残る。
「でも、嬉しいわ。亮ちゃんが嫉妬してくれて」
「もういいよ」
「よくないわよ。それに私は亮ちゃんに教えてあげたいの、私の秘密を」
「だからもういいって」
「ふふふ。亮ちゃん、私意地悪な女なの。亮ちゃんのその困った顔がたまらないわ、ふふふ」
「勘弁してくれ」
「もう無理よ。諦めなさい」
「……」
 咲子の過去を知りたい自分と、目を背けたい自分。私の中に潜んでいる二人の自分がせめぎ合っている。
「ふふふ、亮ちゃん、今は教えない。でも亮ちゃんがいきそうになったら教えてあげる」
「蛇の生殺しだな」
「そうよ、言ったじゃない、私は意地悪な女だって」
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