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千一夜
第45章 第七夜 訪問者 戦い
 ならば遠山機械工業は順風満帆なのか? とんでもない。遠山機械工業は遠山高獅がいてこそ遠山機械工業なのだ。
 光は強い人間に集まる習性がある。光を集めた人間はカリスマを持つ。光り輝く人間は英雄となる。ヒーローは知らず知らずのうちに後に続く者たちの前に高い壁を作る。ところが手足を血だらけにしてこの壁にしがみつくものは多くはない。
遠山機械工業社長遠山高彦。競走馬にご執心なのはいただけないが、かといって無能な三代目のボンボンというわけでもない(遠山機械工業の創業者は高獅であるが、咲子の父は自ら二代目と言っている。創業者は高鶴。これは遠山機械工業内では守らなけれなならない決まりだ)。
 皆が知っている。高彦が社長でいられるのは、遠山高獅の息子であるからだと。常に先頭に立っているのは咲子の父。高彦はそれに従ってさえいればいいのだ。
 社内での高彦の評価は普通。可もなく不可もなく。もしダメなら娘婿が副社長から社長に昇格するだけ。だが、高獅の目が黒いうちは遠山家にお家騒動は起こらない。
 社員はこう思っているに違いない。遠山機械工業のリーダーは永遠に高獅であってほしいと。
 高獅に楯突くことなどなかった高彦だが一度だけ高獅と対立したことがあった(対立というほどではないかもしれないが)。それはコンビニ。
 社員の間ではコンビニの乱と呼ばれている。多くの社員が会社敷地内にコンビニを設けて欲しいと会社側に要望を出した。
 しかし、咲子の父はそれを許さなかった。弟高鶴を若くして亡くした咲子の父は、社員の健康のために多くの管理栄養士を雇い、料理が不味くならないように一流の料理人を集めた。広大な敷地内に運動や文化施設を作ったのもすべては社員のため。
 食事は会社内のレストランで取ればいい。独身社員のためにレストランは朝から夜まで開いている。デザートだって用意した。だからコンビニなんて必要はない。そもそもコンビニの食事で社員の健康を守ることなどできない。
 咲子の父は厳しい人間だが、声を荒げて社員を恫喝するような経営者ではない。ところがこの要望を持ってきた総務部の係長を高獅は怒鳴った。
「コンビニなど必要ない!」
 係長は震え上がった。遠山機械工業の会長遠山高獅に逆らう人間は、遠山の城下町で生きてはいけない。
 
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