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flower
第2章 flower


一つは医学の進歩をひたすら待つこと。
つまりは現状維持。

そしてもう一つ。家族が臓器提供の意思を示せば、その命を受けた医師は管を外し正式に死亡届けを市役所に提出し受理され成仏出来る。
まやかしだが天国へと旅立つ。

結婚して三年目の夫婦に突然降り掛かった水難事故。どちらも決意がつかぬまま 妻 石橋美里の生活は激変した。

「、、少し出てきます」
その表情を読まれたくないのか、義父はスポーツ新聞で頑なまでに顔を隠していた。
美里は三階にある個室部屋を出て、一階受付窓口付近のベンチに腰掛けながら行き交う人をただぼんやりと見つめていた。
いつものように大学病院は相変わらず混雑している。
それは様々な事情と病を抱えた人が行き交う文字通りのスクランブル交差点。早歩きの手術着を着た医師。せっかちに動き回る看護師は今時なのか白衣ではなく
「こんな筈じゃなかった」
という落書という名のアートを、素顔に施しているいつもの風景。更にこの交差点にはれっきとした信号がないのだから尚更厄介だ。
「あっ、、」
杖を付いた老婆のか細い声にベテラン事務員が耳を近づけて頷くその横でお腹を摩る若い妊婦の足取りを止めている。
( 皮肉だわ、、)
美里にはまるで直ぐ間近に迫る生と死が行き交うようにも見えた。こうして命は巡り繰り返すのか。

枯れたい!

あれは空耳だろうか
それとも、、


自らの願望なのだろうか?

みっともない、と分かりつつも美里は親指を噛んだ。
暫くは音沙汰がなかった子供の頃からの悪い癖がじわじわとその脳を蝕み始めていたのだ。
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