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100のベッドシーン
第18章 書けなかった一行を、あなたがくれた
目が合った。ほんの一瞬だったのに、心臓が跳ねる。

彼はそっとカップを差し出した。手が触れそうになって、私は少し引っ込めてしまう。

「すみません」

「いえ」

遼さんは気にしていないように微笑んだ。それがまた、少し苦しかった。

気まずい沈黙が落ちそうになったとき、彼がぼそりと言った。

「編集者と作家って、変な関係ですね」

「え……?」

「距離が近いようでいて、でも近づいてはいけない気がして。……でも、今日みたいな夜が来ると、少しだけ、違うことを考えてしまう」

その言葉に、私は息を呑んだ。

「……違うことって、なんですか?」

答えは返ってこなかった。

ただ、遼さんの視線だけが、私の中に静かに降りてくるようだった。
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