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100のベッドシーン
第18章 書けなかった一行を、あなたがくれた
編集者と作家、それ以上にはなれないはずなのに、ずっと彼に惹かれていた。

「この時間だと、タクシーも捕まりにくいですよ。……うち、近いんです。良ければ寄っていきますか?」

一瞬、時が止まったように感じた。

けれど遼さんは何でもないことのように言っただけで、別に下心があるわけじゃないのだろう。

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

そう答えると、彼は黙って歩き出し、私は一歩遅れてその背中を追った。

彼の住まいは、神楽坂の裏路地にある小さなマンションの一室だった。

外観は古いけれど、中はすっきりしていて、まるで図書館のように本が整然と並んでいる。

「どうぞ。スリッパ、そこです」

「ありがとうございます」
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