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100のベッドシーン
第18章 書けなかった一行を、あなたがくれた
「……あっ」

時計を見た瞬間、思わず声が漏れた。

駅の改札に着いた時には、もう終電の表示が消えていた。

「乗り遅れました?」

隣から声がして振り向くと、如月先生――遼さんが静かにこちらを見ていた。

コートの襟元に手を添え、相変わらず落ち着いた物腰で、淡々と事実を確かめるように。

「ええ、ちょっと打ち合わせが長引きすぎて……」

「すみません、僕が話しすぎたせいかも」

「いえ、あの時間は必要でした。来月号、ようやく形が見えてきた気がしますから」

私がそう返すと、彼はふっと口元を緩めた。

笑っているようで、でも目の奥は真剣で――

私がこの人の言葉に、どれだけ救われてきたか。
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