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Memory of Night 2
第46章 想い人

「……離婚をしようとしたのは、最悪の事態に備えての保身だと思う。もし工場を立て直せなかったら、残るのは大きな借金だけだから。桃華さんは多分、それを背負ってもいい覚悟でいたんじゃないかな。だから離婚して、もしもの時に宵や秋広さんに迷惑がかからないようにした。『他人』に戻ろうとしたの」

 宵の脳裏に、あの日の桃華の言葉が蘇る。
 ーーおまえさ、あたしとパパが別々に暮らすとしたら、どっちと一緒にいたい?
 一瞬だけ与えられたかに思われた選択肢は、桃華自身によってすぐに奪われた。
 ーーパパんとこ行けよ。あたしなんかといるより、その方が幸せになれるから。
 あの時の真意を知れたような気がした。
 多額の借金を背負うことになるかもしれない身で、子供を引き取るのはリスクだ。だから秋広に託そうとしたのなら、納得だった。

「……俺の面倒見るのが嫌で押し付けたわけじゃなかったんだな」

 宵は苦笑した。

「そんなこと……っ! 自分の子と離ればなれになることが……、さ、寂しくない親なんて……」
「だからなんで志穂さんが泣く」

 渋い顔で涙を堪えようとしていたが、目は潤み、鼻の頭も赤い。
 宵は部屋の中を見渡し、テーブルの下に置いてあったティッシュを箱ごと志穂に差し出した。
 昔から、志穂は涙もろかった。泣き顔も見慣れた。
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