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Memory of Night 2
第46章 想い人

「ーー桃華さんのお父様の工場が、経営不振で倒産寸前だったんですって」
「……工場が?」

 唐突な話だった。千鶴の話を思い出す。
 確かに桃華と千鶴の両親は、東北で小さな町工場を営んでいたと言っていた。二人がそこで産まれ育った話や、桃華がその家を飛び出した経緯を聞いたのだ。

「ええ」

 志穂は頷いた。

「それと離婚と、なんの関係があるんだよ」
「……桃華さんは、工場を持ち直すため地元に帰ろうとしていたのよ」
「地元って、東北だろ?」

 離婚して、実家に帰って工場を継ぐ気だったのだろうか。
 経営不振で倒産寸前の工場を? 経営のことなんて全くわからなかったが、そんなことが可能なのだろうか。

「……工場の経営、辞めれねーの?」
「辞めるのにもお金がかかるのよ。銀行から借り入れもしてるでしょうし、取引先との契約も、従業員のお給料も、払わなきゃいけない税金だってある。自己破産、ていうお金を払わなくてよくなる制度もあるけど、従業員のお給料を払えなくなってしまうから、そうはしなかったって秋広さんが言ってたわ」
「でも、別れなくたって……」

 食い下がる宵に、志穂はゆっくりと首を振った。
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