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Memory of Night 2
第46章 想い人

「ーーバーで声をかけた時は、秋広さんだいぶ酔ってたから、『桃華さんと離ればなれになっちゃう』とか、『離婚が……』とか、そればかりだったんだけど。事情もわからなかったけど、ご結婚されていて、その女性と離婚の話が出ているのはわかったわ。その女性をとても好いていることも。ちゃんと話を聞いたのは、翌朝、酔いが冷めた秋広さんが目覚めたあとだった……」

 秋広は、目覚めた時一切記憶がなかったのだという。ホテルという場所にも、同じ部屋に桃華以外の女性がいることにも腰を抜かすほど驚き、真っ先に過ちを疑ってパニックになっていたと。
 それは、そうなるよなぁと思う。酒で記憶がなく、目覚めたら知らない女性とラブホテル。そんな状況でなぜ間違いが起きていないのか不思議なくらいだ。
 だがその反応は、宵の記憶の中の父親と一致し、安心した。

「そのままヤられたことにして、慰謝料とかせしめてやれば良かったのに」
「もう、なんて酷いこと言うの! そんな悪いこと、どこで覚えたの」
「…………テレビ」

 バイト先だよ、とはさすがに言えなかった。
 土下座しながら謝り続ける秋広の誤解をやっとの思いで解き、ようやく教えてくれた真相。
 それは確かに、どうしようもない理由だった。
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