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Memory of Night 2
第46章 想い人

「目元と髪、志穂さんに似てる」
「看護士さんにも言われた。口元は弘行さんでね……」

 小声で、嬉しそうにそうそう言いかけて、志穂ははっとしたように口元をおさえた。

「あ、ごめんね……」
「なんで謝る」

 宵は笑った。
 志穂の申し訳なさそうな顔の意味はわかる。
 志穂とも弘行とも血が繋がっていない自分は、二人の子である芽衣とも同じく血縁関係はない。パーツの一つでさえ、似ることはないのだ。どれほど成長したとしても。
 それを気にしての『ごめんね』だろう。
 確かに妹なのに、似ていないのは少し寂しくはある。けれど思い返せば秋広ともそうだったのだ。

「……やっぱ、普通どっちにも似るよな。俺、小さい頃から母さんにしか似てなかったから」

 桃華にしか似ていなかったというよりは、桃華に瓜二つだったというほうが正しい。似すぎていたのだ。

「親父には全然似てるとこなくて、よく母さんに、他の男との子かもってからかわれてたよ、親父」
「まあ、なんて酷いこと……」

 志穂は心底驚いたような顔をした。

「本当だよなー。ーー確かに母さんよく親父のことからかったりいじめたりしてたけど、ちゃんと愛情はあったと思うよ。……見てたら、わかる」

 宵はわずかに灰色の瞳を細めた。愛情があるかどうか、子供の自分にだってわかった。
 弘行向ける笑顔や言動、自由気ままで破天荒な振る舞いも、その場所が桃華にとって安心できる場所だからこそできていたことだったはずだ。
 表現の仕方は違えど、桃華も同じように秋広を愛していた。そう言い切れる。

「ーーそうよ、気持ちが無くなってしまったから離婚しようとしてたわけじゃない」
「……え?」

 志穂はまた、泣きそうな目をする。
 いつの間にか、芽衣はまた眠っていた。
 志穂はそっと、芽衣にほおずりし、優しく囁く。

「ごめんね、あと少しだけ、待っててね」

 静かに立ち上がり、再び隣の部屋へと向かう。
 見守りカメラをセットし直しソファーに戻ってきてから、再び昔話を再開した。
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