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Memory of Night 2
第46章 想い人

 志穂は笑った。

「……抱っこ、してみる?」

 宵の隣に腰をおろし、宵に問いかける。
 新生児は手も足も体も何もかもが小さくて、どこか不安定で、触れてはいけない神聖な何かみたいだった。
 とても可愛くて、小さいのにちゃんと生きている。生きようとしている。
 無垢なエネルギーが溢れている。
 芽衣はいつの間にか泣きやんでいた。差し出そうとする志穂から、宵が受け取ろうとした時。

「あ……ああ……」

 みるみる顔がくしゃくしゃになり、また泣き出しそうになる。
 宵は慌てて伸ばした手を引っ込め、志穂がまたあやす。

「……やっぱ無理」
「起きたばっかでびっくりしちゃっただけよ。それか人見知り? よちよち、ごめんね、知らない人怖いよね?」
「……知らない人って言うな」
「ごめんごめん。芽衣のお兄ちゃんでちゅよー」
「あー、あああ……!」

 今度こそ、大声で泣き始めてしまった。
 宵は慌てて芽衣の視界から外れるよう席を立ち、その場を離れる。
 そっと覗くと、猿みたいな顔をしていた。そんな中、薄茶のたれ目は志穂の面影がある。
 髪もまだわずかしかはえていないが、癖っ毛なのはわかった。ところどころくるくる跳ねている。
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