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Memory of Night 2
第46章 想い人

「だから……寝たの、ほ、ホテルで。家もわからないし、その時の秋広さん、とても意志疎通できる感じでもなくて……近くの、その、夜のホテルに連れていって、どうにかベッドに寝かせて、朝まで……。ご家族がいるのに、当事携帯電話もなかったから連絡もできないし、もうどうしようもなくて……」
「それで?」
「一応吐き戻したり、夜中に急性アルコール中毒になっても大変だから朝まで一緒に……。でも大丈夫だった」
「…………」

 宵は頭に片手をやった。これはもしや、とんでもないオチが待っているのでは? という嫌な予感がひしひししてくる。

「まさか寝たって……一緒の部屋で一晩眠ったってこと? 親父と。……そんだけ?」
「ええ」

 志穂はまた頷いた。
 宵は今度こそ頭を抱えたくなった。
 百歩譲って『寝た』の意味はそれで良い。日本語としても間違ってはいない。だが、『不倫』て。

「不倫てのは……?」
「き、既婚の男性と一夜を共にしたのよ? わたし、男の人とお付き合いしたこともなかったのに。桃華さんに申し訳なくて、合わせる顔もなくて……」
「いやいやいや! それはどう考えたって不倫じゃなくて介抱だろっ! つか、親父がクソすぎるだけで、志穂さんなんにも悪くねーじゃん」

 仮に桃華がそのことを知ったとして、半殺しにされるのは秋広だ。志穂に非はない。

「んで?」
「次の日の朝、秋広さんパニックになってて、ずっと土下座しながら謝られちゃって……」
「……うわー、何してんだマジで」

 さすがにそんな実父の姿を想像したくはない。
 宵は思わず深いため息をついていた。

「アルコールだめなくせに、なんでバーでそんなんなるまで酒なんか……」
「ーーとても悲しいことがあったのよ」

 志穂は顔をあげた。薄茶の瞳は真っ直ぐ宵に向けられ、何かを訴えかけているようだった。責めないで、と懇願されているような気がした。

「……理由、聞いた?」

 志穂はもう一度頷いた。
 ゆっくりと、薄い色の唇を開く。

「ーー桃華さんと離婚が決まったって。それがどうしようもなく、ショックだったそうよ」
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