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Memory of Night 2
第46章 想い人

とはいうものの、どう切り出したらいいのか宵は迷っていた。
言葉を選んでのやり取りは、あまり得意ではない。結局直球に尋ねた。
「俺の親父と、どこで出会ったの?」
「ーー秋広さんと出会ったのは、会社の先輩に連れていかれたバーだった」
「……バー?」
違和感を覚える。宵の記憶の中の秋広は、酒を飲まない。平日も休日も家で飲んでいる姿を見たことはなかった。
ごくたまに、会社の飲み会に呼ばれることはあったみたいだが、そこでも多分飲んでいない。足に使われることもあったくらいだ。
バーになんか行くだろうか。
「当事わたしが働いていた事務には女性が三人いて、仕事が終わったあと、たまにご飯に誘われるの。その時連れてってくれたのが、たまたまバーだった。わたしはまだ二十歳前だったし、アルコールは飲まなかったけど。お酒を飲むような場所に行ったことなかったからドキドキだった。なんだか大人になったような気がして楽しかったわ」
「何歳ん時?」
「高校卒業して、働き始めた次の歳だったから十九かな」
(あれ、つか志穂さんて親父と何歳差?)
ざっと計算しても二十近く離れているような気がする。
そんな年下の女性に手を出したのだろうか。ますます続きを聞くのが怖くなってきた。

