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Memory of Night 2
第46章 想い人

「今年こそ満開の花が咲くんじゃないかって毎年ドキドキしながら眺めてた」
「へー。だから、『芽衣』?」
「そう! ーー素敵な出会いや気付きもたくさんあった。だから入院生活も、それはそれで幸せだったよ」

 それは救いのように思えた。長い入院生活中、志穂の人生の中の大切な時間を奪ってしまったような気がしてならなかった。だけど志穂自身がその頃の日々を不幸でないというのなら、何よりだと思う。

「ーー俺も、志穂さんと暮らすの楽しかったよ。親父と母さんがいない寂しさを埋めてくれた。ありがとう」

 施設に送らず引き取ってくれたこと。感謝していた。
 閉じ込められた洞穴で千鶴が言ってくれたように、その選択が最善だったのだと、志穂自らが肯定してくれるなら、きっとそうなんだと思えた。
 ーーその理由が例え、志穂が犯した過ちの、罪滅ぼしだったとしても。
 今までこの話題を自分から掘り起こしたことはなかった。もちろん直接尋ねたこともない。
 
「……あのさ、あんま思い出したくないだろうなって思うけど、一個だけ聞いていい? 志穂さんと、俺の親父とのこと」

 志穂の顔がわずかに曇る。触れられたくない話題なはずだ。
 一瞬でも秋広に好意があったのだとしたら、辛いことを思い出させてしまうだろうこともわかってはいた。
 それでもどうしても、ここで確かめておきたかった。

「ーーええ、もちろんよ。あなたが気になること、なんだって答えるわ」

 話がある。そう伝えただけだったが、志穂は予感していたのかもしれない。
 だから芽衣をわざわざ寝かしつけて自分を待っていてくれた。
 宵はアイスティーで喉を潤し、本題へと入った。
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