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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 ある日の水曜の夜九時近くだった。
 涼しげなドアベルのちりんちりん、という音と共に扉が開き、現れたのは甥の宵。

「ちーっす。あれ、お客さん一人もいねーじゃん」
「うるせー、たまにはこういう日もあるんだよ。水曜だしな」

 開口一番客が居ないことを指摘され、千鶴はむっと唇を尖らせる。
 まだオープンして一ヶ月と少し。ローズから遊びにきてくれる客で最初は満席に近い状態が続いていたが、徐々にそういうのは減っていくものだ。
 水曜日はローズの方でなんらかのショーが行われることが多い。
 今日も、プロの講師を招いての緊縛ショーをすると聞いていたので、なおのこと流れてくる客はいなかった。

「……全然あっちのバーと雰囲気違うんだな」

 宵は店内を見回し、そう呟いた。
 千鶴もカウンターの中から頷く。

「当たり前だろ。こっちは全年齢入れる普通のバーなんだから」

 店内は茶と白で統一した。もうそこからして卑猥さ全開のローズとは違う。
 カウンター席は八つ。入り口を入って正面に五つ、右側に曲がるL字型のカウンターテーブルになっており、そちらに三席。右手の奥には丸テーブルが二つ置かれていた。
 バーだがそこまで暗くない。店内は、あたたかみを感じやすいという暖色系の明かりにした。女性客一人でもふらりと立ち寄りやすいようにという配慮だった。どこか洋風な家のような内装になっている。
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