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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 唐突すぎて、宵にはまだよく理解できていない。だが両親と同じ職場と聞き、思い起こしてみれば、何度かこの人を見たことがあるような気がしなくもなかった。
 小さい頃だろうか。

「俺、そこの現場で働いているんだが、もう終わる。少しだけ待っててくれ」
「え?」
「これで、コーヒーでもジュースでも飲んでてくれ、すぐそこに喫茶店があるから」

 相澤と名乗った男はポケットを漁り、小銭を何枚も取りだし宵に差し出す。
 断る間もなくもう片方の手で宵の手を開かせ、小銭をジャラジャラと乗っけた。

「いや、要らな……」
「三十分くらいだから! 君にどうしても持っていてほしいんだ。すまんが俺の家まで取りにきてくれ、一緒に」
「はあ? ちょっと、おっさん!」

 休憩中だったのか、駆け足で戻っていってしまう。その先には建設途中の建物があった。
 オレンジ色のビニールシートに覆われていて、何を作っているのかまではよくわからなかった。
 だが、ビニールに印字されたロゴは、確かに見覚えがある。母が着ていた紺色の作業着にもあった。
 宵は無理矢理手渡された小銭を眺めた。
 五百円玉と百円玉で八百円あった。
 受け取ってしまったため帰るわけにも行かず、相澤がいう渡したいものがなんなのか、気になる気持ちもある。
 仕方なく、工事現場の斜め向かいにある喫茶店で待つことにした。
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