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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 秋広は呑気な顔でへらへらと笑った。
 ーー仕事、続けていいよ。宵の面倒は僕が見るから。大丈夫、仕事が忙しくてなかなか一緒の時間を過ごせない時期があっても、君のこと忘れないように、僕がたくさんたくさん、話して聞かせるんだ。僕が大好きな桃華さんのこと。
 育休が明ける直前、仕事を変えようか悩んでいた時期に、秋広はそう言った。
 その約束を律儀に実行してくれているらしい。
 よく話のネタが尽きないな、と思う。

「最後まで話したかったのに、宵、寝ちゃった」
「つまんねーからだよ」
「えー。相澤にハメられたってオチとか。おんぼろなアパートを取り壊して、大家さんが若い人向けのアパートに建て替えてくれたけど、人気になりすぎて僕たちが住めなくなって引っ越したオチとか、これから面白くなるのに」
「だーかーらー、オチの面白を五歳児が理解できるわけねーだろが!」

 その時だった。

「……ん、あれ? 母さん?」

 いつの間にか宵が目を開けていた。賑やかなやり取りで起きてしまったらしい。
 桃華はもう一度寝かそうか迷ったが。

「……宵、ただいま! てめえ、出迎えはねえのか、こちょこちょの刑だ!」
「わ、やだ……っ!」

 突然上に乗ってきてくすぐられ、宵は身をよじって逃げようとする。
 秋広はため息混じりに苦笑した。

「……だから、嫌われるって。あと桃華さん、作業着のままベッドに入るのは……」

 言いかけて、秋広はやめた。楽しそうな桃華の様子に、まあたまにはいいか、という気持ちが勝ってしまった。
 久しぶりの家族水入らずの時間を秋広も楽しむことにしたのだった。
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