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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
突然なんの話だろうかと思う。それでもその通りなので、桃華は頷いた。
「まわりに倣うもんだからねえ、人間は。あたしにとって結婚も、そんなもんだったんだよ」
「……通過儀礼?」
「そんな感じかね。女がやる仕事なんか、あの頃はあまり無かったしねぇ。ーーだからモモちゃんのお母さんやお父さんの気持ちもわからないでもないよ」
トミには、不思議と腹は立たなかった。どうにもできなかったモヤモヤとした何かを、丁寧に言葉にしようとしてくれていた。
住む場所を探していた時、トミに出会った。
保証人無しで借りられるアパートは少なく、住民票も東北の実家のままだ。おまけに職もアルバイトを始めたばかりだった。民宿に連泊しながら不動産を何軒か当たり、トミの管理する今の物件を紹介してもらった。
本当は保証人が必要だったが、家を飛び出してきた理由を正直に話すと、トミはアパートに住むことを快諾してくれた。
「女の子が住むには、だいぶボロいけどねぇ。ここで良ければ、どうぞ」
部屋は確かにお世辞にも綺麗とは言えなかったが、その時のトミは実家のような温かさだった。
引っ越した翌日から、差し入れを持ってきてくれていた。
トミは桃華の事情を知っている。それでも、今のように内情に触れてきたのは初めてだった。

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