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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
「なーんてこたぁない、見合いだよ」
桃華が淹れた茶を一口すする。
「あたし達の頃は、それが一般的だったんだよ。親戚なんかが縁談話を持ってくる。写真を見て、家柄を教えられて、とりあえず会って食事をする。お父さんともそうやって出会ったんだ。その時はね、三人縁談話があったんだよ。一番愛想がよくて、家柄が良かったのが今の旦那で、あたしより叔母の方が旦那を気に入ってた。是非、トミをもらってやってくれって。だから厳密には、あたしが選んだ相手じゃないねぇ」
ふぉっふぉっふぉ、とまた笑う。歯に隙間が幾つかあるからか、笑うたびに空気が抜けていくような音が混じる。
「……ふーん」
桃華は呟いた。
「腑に落ちなそうな顔だね」
「……自分の人生に関わる大きな選択を、人に委ねるんだなって思って」
共に生きていく相手だ。紹介してもらうだけならいざ知らず、相手が自分にふさわしいかどうかまで身内が判断し、決めてしまうのだろうか。
桃華には理解出来なかった。
「そうだねぇ。確かにそうかもしれないねぇ」
トミは、口に入れた菓子を味わうように、二度同じニュアンスの言葉を呟いた。
「でもあの頃のあたしには、それは普通のことだったんだよ。例えばモモちゃんさ、七歳から十二歳まで小学校に通うことをおかしなこととは思わないだろ? ランドセルを背負って出かけることも、おかしいとは思わないだろぅ?」

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