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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
『使わないものは、早めに冷凍庫に入れてくださいね』
(マメ)
秋広の気遣いが感じられて、つい口元が弛む。
真冬のこの時期なら、外に出しておいてもカボチャが腐ることはないだろう。
桃華は鍋をコンロとシンクの間の小さなスペースに置いた。
温かいお茶を淹れ、トミに出す。
「ありがとう。……壁も剥がれちまってるところがあるし、畳もずいぶん傷んでるねぇ。張り替えた方がいいんだけどねぇ。今は修繕費を工面するのも厳しくてねぇ」
「そんなん、いーよ別に。住めば都」
「モモちゃんは優しいねぇ」
トミは笑った。
「優しいとかじゃなくない?」
「じゃあ、男前だねぇ」
「……バカにしてる?」
「違う違う」
また笑う。
差し入れを持ってきてくれるたびに、よく喋るしよく笑う。気さくで明るいトミが桃華は嫌いではなかった。
自分の母親もこんなふうだったら、もっといろいろなことを話せていたかもしれない。そう感じることが、幾度かあった。
だが、きっとそれは違う。身内と他人では、距離の取り方や感じ方が違う。他人だから言えることもあれば、身内だからこそ言えない、言いたくないこともあるように思う。
「……ばーさんてさ、今の旦那さんとどうやって結婚したの?」
「ん? あたしと恋バナかい?」
トミは腰を反らし、はっはっはっと盛大に笑った。

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