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息子の嫁
第14章 婚約指輪
何時もなら私が起き上がった後に彼女が綺麗なシーツに代えてたが今朝は、その余裕すらなかったのか?

彼女も、平常心ではなかったんだと――そんな素振りを少しも私に見せず平成を装ってはいたが、このシーツが彼女の代わりに私に、語り掛けてるようにも想えた。

苦しんでいたのは私だけではなかった。

夫の居ない、この家に戻る理由を理解してもらえる筈もなかったし、私との事を母親に話せる筈等なかった。

実家で、どんな事を言われても私達二人の未来の為に耐えてくれとは伝えたが、それがどんなに彼女には酷い言葉だったのか―――その他に、彼女を勇気ずけて上げる言葉はなかったのだろうかと―――冷静になり考えても私には何も想い付かなかった。

歳がいもなく私は、彼女が恋しくなりベットに身体を寝かせた。

彼女の居ない、シーツに温もりもなく冷たかったが、その冷たさが私には心地よかった。

「麗奈」

彼女が居なくなり私は彼女が私に、どんなに必要な存在なのかを改めて想い知らされてた。

何時のまにか、涙が零れ頬を伝った。

私が、こんな想いをした事は今までの人生で一度もなかったことだった。

それ程に、私は彼女を愛してた。

暫くベットに寝てたが思い直し私は、綺麗なシーツに敷き代え部屋を出た。

部屋を出ても私には、これと言ってする事もなかったし何をするにしても手につかない程に、しょうすいしきっていた。
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