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息子の嫁
第13章 障害
彼女が、燗をつけてくれたお酒は冷めてしまい、温くなっていた。

ホヤをつまみに独り、手酌で飲んでるとお風呂から上がった彼女が、バスタオルで身体を包みかくし部屋に入ると、お風呂から上がった時に何時も、私に言う言葉を言った。


「お義父さん…。お風呂から上がったよ……。」


幼い子どもが言うように、その言い方が可笑しくて私が声を上げ笑った。

「へへへっ」と彼女も笑い、私の隣りに腰をおろし座った。

「やっと、お義父さんが笑ってくれた…。私がお風呂に行ってる間、何を考えてたの?」


「麗奈…。」


私が、身体の向きを変え彼女の方を向くと彼女も、私と見つめ合うように向きを変えた。

「麗奈…。明日、実家に行く前に一緒に行って欲しい所があるんだけど、どうだろう?」

「一緒に行きたい所ってどこ?」

「麗奈が、大好きだった叔母さんの、お墓に大事な事を報告しに行こうと想う……。」

「叔母さんのお墓に?」

「そうだよ…。どうかな?」

「お義父さん…。私――。」

「どうしたんだい?」

「だって私――嬉しくて――。」


彼女は私が、言う大事な事の意味がわかったように言いながら涙ぐんだ。


「じゃあ明日、一緒に行こうな?」

「うん…。あらっ!ホヤがなくなってる私、取って来ます……。」


そう言い部屋から出ていった。

台所にホヤを取りに行ったはずの彼女が、それから暫く部屋に戻って来なかった。
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