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息子の嫁
第12章 世間の目
それからも彼女が、せっせと自分の物を箪笥にしまい、やっと片付けが終わった。

「終わった。」

「ご苦労様、生ビールにするかい?」

「うん…。」

私が部屋を出ると彼女も私の後を追うように台所に入り椅子に腰掛け私が差し出す生ビールを美味しそうに飲んでた。

「お義父さんは?」

「私は、車の運転があるから帰ってからにするよ…。」

「ごめんね私だけ…。」

「欲しかったら言うんだぞ…。」

「うん」

「どうした?吹っ切れたかい?」

「うん」

「どうしたんだい?」

「私ね――お昼寝って嘘だったの…。本当は、あの部屋でお父さんに抱いて欲しかったの……。」


彼女が云った言葉は、私が思ってた通りだった。


「分かってたよ…。麗奈は、智輝の匂いを追い出し私の、匂いを付けて欲しいかったんだろう?」

彼女が頷いた。


「でも私は、あの部屋から麗奈の物を運び出し私の、部屋に置いて欲しかったんだよ…。

だって、そうだろう?麗奈が、二度とあの部屋に入らないようにって私は、考えたんだけどダメだったかい?」

「ううん…。全然ダメじゃなかった。私――そこまで考えてなかった……。」

「これから私達は箪笥の中でも一緒だからな?」

「お義父さん…。箪笥の中でもって――でも私、嬉しい……。」
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