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息子の嫁
第12章 世間の目
彼女も、甲斐甲斐しく家の中を動き回っていた。

床の、フロワーに掃除機を掛けていた時、彼女が二階から下りてきた。


「まだ掛かりそうかい?」


私が声を掛けた。


「自分の部屋を片付けてるの…。」

「麗奈…。智輝の物は全部、捨てていいからゴミ袋に入れて部屋から出して後で私が、ゴミ収集の時に出してあげるから、いいね?」

「うん…。」


それから暫くし、彼女の片付けも終わり私達は、リビングの、ソファーに腰掛け生ビールを飲んでいた。


「お義父さん…。お疲れさまでした…。」


そう言い私の、ジョッキに彼女のジョッキをコツンと合わせ私も、彼女にお疲れさまでしたと言った後、ジョッキに口をつけ飲んだ。


「お義父さん…。私、お義父さんにお願いがあるの……。」

「なんだいお願いって?」

「ビールを飲んだ後は、お昼寝をするんでしょう?」

「ああ…。そうだけどそれが何か?」

「その時、私の部屋で一緒に寝て欲しいの……。」


智輝の物は全部、部屋から出させ整理された後だったので私には、ピンときた。

彼女は、自分の部屋から夫だった智輝の匂いを消し去りたいと想っていたのだろうと、そう感じた。

「麗奈の、気持ちは良くわかるし、それを分かった上で私からの提案なんだが――。」

「提案って?」

「麗奈の、下着類とかを全部、私の部屋に運び、もうあの部屋は使わないようにしないかい?」
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