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第11章 彼女が見た夢

私は、彼女が見たと言う夢の話しを聞き愕然とした。

何故ならば、それは今の私達の置かれていた状況にあまりにも良く似ているように想えたからだった。

例え愛しあい、仮に私達が結婚したとしても嫁ぎ先の父親の私と息子の妻が、この家で平静に暮らせるとは到底、考えにくかったからだった。

私達が穏やかに暮らすのには誰も、私達を知らない別天地に移り住むしかないだろう。

そう考えると彼女が見た夢に、信憑性があるように私には想えたし更に、彼女は私達に二人の子供が居たと話した。

その事がもし本当なら、それは私の定年後ではなく、もっと早い時期なんだろうとも――



「お父さん…。どうしたの私、何度も呼んだのに――。」

「ああ…。そうかすまない……。」

「どうしたの？」


心配そうに彼女が聞いた。


「麗奈の見た夢が、あまりにも今の私達が置かれている状況に似てたから、びっくりしてしまい考え込んでたんだよ…。」

「そうなの――。」

「だって、そうだろういくら私達が愛し合い、仮に結婚したとしてもここでは、後ろ指を指され静かに暮らす事も出来ないし子供達だって

私達の巻き添えになり、きっと嫌な想いをするだろう、だったら麗奈が言うように、ここでは誰も幸せにはなれないって事だろう？」


彼女に、そう言いながらも私は少し感情的になってて平常心を失ってた。