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第9章 有給休暇

「だって私達の子供達のために私――。」

何が、何だかわからずにいた私に尚も彼女が言った。

「お義父さん。お願い手をかして下さい。」

ベットの脇に立った彼女の身体を支えるように歩かせ、リビングのソファーに座らせ洗ったばかりのバスタオルを膝に掛けた。

「何か飲むかい？」

「私、ビールが飲みたい。」

冷蔵庫から缶ビールを一本、抜き取り部屋に戻り彼女に渡すと、一気に渇いた喉の奥へと流しこみ、飲み終わるとプハーと強く息をはき

「うんめえ！」

と彼女が言った。

そんな彼女の、仕草を見て私が笑うと彼女も笑ったが久しく彼女の、笑った顔を見てないようにも感じていた私には嬉しさがこみあげた。

「お義父さん」

「なんだい？」

「私、お風呂に入りたい。」

「お風呂って、まだ麗奈さん独りじゃ入れないから、そう焦る事もないし身体は、私が拭いて上げるから無理しちゃだめだよ。」

「ううん。私、もっと強くならなきゃいけないの。だからお願い連れてってお願い。」

「麗柰。いったい何があったんだい？私に教えてくれないか？」

彼女は、夢を見て必死で前に進もうともしてたし、その見た夢が彼女に強い力を与えてたもいたが、そのことで混乱してるようにも私には想えた。

「私も、まだ頭が混乱しててお義父さんには話せないの――。」