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第8章 噂（うわさ）

部屋を出た後、私は同級生の酒店でアリカリ飲料水を買い戻ったが同級生も、この話しを知ってて私に話し掛けた。

「噂を聞いたけど本当なのか？」

「私よりも世間の人達が知ってるって、どういう事なんだろうな？お陰で嫁が寝込んでしまってる…。」

「そうか――今はSNSで直ぐ情報が拡散されるからなあ……。」

「ああ…。使い方によっては便利だけど、一つ間違えると人の命を奪う凶器にもなるから俺も怖いよ。」

「俺も、お前の話し相手ぐらいにはなれるから独りで悩むなよな？」

「ああ。その時は、よろしく頼むよ。」

同級生でもあり幼なじみの彼とは、そんな話しをし戻って来た。

家に戻り、グラスにアリカリ飲料水を注ぎ、ストローと一緒に持ち部屋に戻ると彼女は眠ってた。

私は昔、妻が使ってた化粧台の椅子に座り彼女を見てた。

彼女を見ながら、これからどうした物かと考えを巡らせていたが今は、自分の事よりも彼女の事を最優先で考えて上げなければならなかった。

以前、私が離婚を勧めた時、彼女は私と一緒に暮らせなくなるからダメだと言った。

だが息子が出て行った以上、彼女と二人で暮らす事になるし、これからどうなるのかさえ分からない状況だった。

噂話に、尾ひれがつき面白おかしく飛び交い、今よりも彼女が傷付けられる事を恐れた。

「お義父さん」

「どうしたトイレかい？」

「違うの。お父さんが思い詰めたような顔をして考え事をしてたから私―――。」

「そうか。麗奈には、そう見えてたのか？でも違うんだよ私は、麗奈を元気にする方法を考えてただけなんだよ？」

「ごめんね」

彼女が、力のない小さな声で私に云った。