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息子の嫁
第8章 噂(うわさ)
身体が動かないんだと言った彼女は涙ぐんでた。

そんな彼女が独りで、トイレに行けないと私に頼んだ。

「立てるかい?」

彼女が、買い物に行った時に誰かに言われたのか、もしくは私と同じように誰かが話してるのを聞いたのか精神的な、ダメージからか自分で立つことが出来なかった。

「私の首にしっかり掴まっているんだよ?」

「うん」

そんな状態の彼女を私は両腕に抱え、ゆっくりトイレまで運んでは来たが

彼女をトイレの便座に座らせた後、急いで自分の部屋に入り布団を整え、再びトイレに戻ると彼女が私を呼んでた。

「終わったのかい?」

「うん」

彼女の声は何時になく小さかった。

再び彼女を両腕で抱え、私の部屋に運びベットに静かに下ろし布団を掛けた。

「お義父さん。私…ごめんね。」

「麗奈さん、パジャマが汗で湿っぽくなってるから着替えないかい?」

「箪笥の引き出しにパジャマがあるから取って来てくれる?」

「分かった。取って来て上げるから寝てなさい。」

部屋を出て二階の智輝達、夫婦が使ってた部屋に入り箪笥の引き出しを引き出すと、パジャマは直ぐに見付ける事が出来た。

着替えに必要なパジャマを持ち階段を下りてはいたが私には、もう一つ気掛かりな事があった。

それは彼女を抱き抱えた時、彼女の身体が汗ばみ冷たく感じられた事だった。

部屋に戻り私は彼女に言った。

「麗奈さん、着替える前に私に体を拭かせてくれないかい?」

「私の身体を拭いてくれるの?」

「汗をかいて身体が冷たくなってるから私に拭かせてくれないか?」

尚も、そう私は彼女に訊いた。

「お義父さん」

「拭かせてくれるかい?」

「うん」

彼女は私に返事をしながら涙ぐんでた。
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