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息子の嫁
第7章 夫婦喧嘩
「おおお~い。おおお~い。」

誰かの声がし、声の方向に顔を向け後ろを振り返ったが誰もいなかった。

漁師が、網を引き上げ港に戻って来たところだった。

「今日は風が強いから釣れないから、ほれっ!これを持って帰れ。」

船を私が居た、岸壁に付け何匹かの魚をくれた。

「これも持って行くか?」

そう彼が私に云った魚は、体長が1メートルもある大きなハモだった。

それだけは遠慮した。

それからも彼との交流は続き、独りで釣りに行く時は自分の家で作った、お米や野菜を車に積み込むことを忘れなかった私に彼は、アワビやホタテ、そして、様々な魚をくれた。

その頃、魚のさばき方を教わり結婚してからも魚は私が、さばき妻や息子の智輝に食べさせていた。

彼との交流は十年くらいつずいたが、次第に釣りからも遠ざかるようになり彼は東北大震災の時、大きな津波にのみこまれ消息をたった。

彼の家は、新聞やテレビでも取り上げられ放送された三陸町だった。三陸特有の狭い湾が災いした。

大震災では、大好きだった叔母を彼女も失っていたが、かつて誰もが経験した事のない程の大きな津波が尊い多くの人達の命を奪った。

大地震の後、津波警報が鳴り津波の第一波が小さかった事が油断をうみ、多くの犠牲者をうんでしまった原因の一つとも云われるが今となっては―――――

何時しか手酌で独りで、そんな事を考えながらの晩酌の味は苦いものになっていた。

暫くし、お風呂から上がった彼女が部屋に入って来た。

「お義父さん。綺麗に洗ったよ。」

その後、彼女も晩酌に付き合ってくれたが

「お義父さん。上がったよ。」と今夜のように「お義父さん綺麗に洗ったよ。」

この、二つの言葉の違いに私が気付いたのは、それからもっと後の事だった。

その言葉は、彼女が考えた私達にしか分からない暗号のような言葉だった。
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