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第7章 夫婦喧嘩

食事中の彼女は笑顔だったし、よく喋った。

私は、何時の間にか初恋の彼女でも見ているかのような眼差しで彼女を見ていた。

それは少年時代に戻ったような、とても純粋な気持ちからだったが彼女に呼ばれ我に返った。

「どうした？」

「どうしたって、お父さんこそ、どうしたの？さっきからずっと私を見てた。」

「あっ、そうか。すまない。」

「私の話しに返事も出来ないくらいに大事なこと？」

「そうだよ。何かおかしいかい？」

「やっぱり昨日の事を考えていたのね？」

「違うよ。本当に考え事をしていたんだよ。」

「本当かなあ……。あやしい。だって何時もと違うから私、そうかなって……。」

「じゃあ証明するから立って。」

椅子から立ち上がり彼女を抱き寄せ、とても愛おしい彼女に私はキスをした。

「麗奈さんは、可愛いなって見てたんだよ。これで分かっただろう。もういいかな？」

「だめ！」

「どうしてダメなんだい？」

「嬉しいからダメ！もう少しこのままで居て。」

私を見上げるようにし、両目を瞑った彼女の唇に、唇を重ね柔らかい唇を吸うと彼女が涙を流した。

「どうしたんだい？」

「私……。お父さんに優しくされると涙が出ちゃうの。何故かなあ？」

彼女は、男の優しさに飢えていた。それは夫の智輝に問題があったからなのだろうが、それとは別に幼い頃に父親をなくし面影さえ知らない彼女が、私に父親像を重ね合わせてた性だったのかもと

彼女に、優しくして上げるのは彼女を愛した私の、使命のようにも感じ私は只、彼女を強く抱き締めた。

そうしてたが私の出勤する時間が、もうそこまで迫っていた。

「あらっ！私しったら、もうこんな時間に……。」

「大丈夫だよ。麗奈さん。今朝の私は、もうお腹いっぱいだから仕事に行く仕度をするから。」