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哀色夜伽草紙
第11章 天使の記憶
ぴしゃん

顔に水が跳ねた

ぴしゃん

また、だ。それと同時にぼんやりと開いていく視界は曖昧で、どこか非現実的な色をしていた。

押し殺して泣く誰かの声がした。

(誰?)

よく耳を澄まして聞けば、それは女の人の声だった。

「泣かないでくれ、これは……」

「貴方はそうやって私をも裏切って……」

ヒソヒソと話す声が響く中、目を開くとぴしゃんと跳ねたのは頬を伝う液体だった

(ナニコレ……)

「ぼく……いらないって…」

「え?」

「かあさん、ぼくをいらないって……」

寝ている私の横にいたのは小さな男の子……

「泣いているの?」

「ないてるのは琴莉ちゃんもだよ…なかないで」

確かに泣きながら寝ていたようだ。瞼が重い。

「でもあなたのほうが悲しそう、泣かないで?」

可愛らしい顔立ちの男の子があまりにも悲しそうにさめざめと泣くから、思わず胸に引き寄せて抱きしめた。

「泣かないで」

「カゾク、ばらばらになるんだって、ぼく、
ぼくをすきなひと、いなくなる」

「じゃあ、私があなたを好きな人になってあげる、だから泣かないで…」

まるで天使のようにフワフワした男の子の背中をさする。

「やさしいね琴莉ちゃん、ありがとう、だいすきだよ」

その背中の温かさはふんわりとして、触れた肌も羽根のようでまるで現実味がなかった。

(ああ、これは夢なんだ)

そう気付いた頃、重い瞼が降りてきて視界をさらにぼやけさせる。

『いつか、迎えにくるから』

映像が消える間際に聞こえたその台詞が妙に大人びた響きを持って耳に届いた。

(迎え?)

その言葉に返事をする前に意識が落ちていく、いや、これは逆に登って覚醒していくのだろうか?


……やがてまた現実に戻っていく
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