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哀色夜伽草紙
第11章 天使の記憶
気が付くと少年の壱くんがそこにいて、私のすぐ傍で微笑んでいた。

「どうした?琴莉泣いてたの?ほらおいで?抱っこして撫で撫でしてあげるから」

いつもと変わらない壱くんの優しい言葉に嬉しくて広げてくれた腕の中へ抱きつくと、壱くんの香りにホッとした。

「ねぇ壱くん、誰かここにいなかった?」

先程まで天使のようにフワフワした男の子が居たはずだ。だけど壱くんが笑って首を横に振った

「いや、誰もいないよ。じいちゃんたちは出かけたし二人きりだよ?夢でも見たんじゃないか?琴莉ここでいつの間にか寝ていたみたいだから」

壱くんはキュッと口角をあげていつものように笑っていた。

「ふぅん……」

(やっぱりあれは夢だったのか)

そんな風に以前も不思議な体験をした事があったと言う事を白い四角い部屋の中で思い出した。

鼻をつく消毒薬の匂い、微かな電子音、遠くの人の声がして、夢の中を漂っていた意識が、今度こそ戻っていく。

目だけで見回せば白いカーテンに覆われている場所に寝ていて、どうやらここは病院であるらしかった。

起き上がろうとするけれど、身体が重くてすぐには動かなかった。

もう一度視線だけ走らせると、足元に黒い塊がいて、それがむくりと動いた。

「あ……目、覚めた?」

少し眠たそうな目を細めてふわりと天使のように微笑んだのは……省吾だった。

その姿に、先程見たビジョンが重なって行く。

初めて出張先で抱かれた日も彼に羽根を見たのを思い出す。

天使は省吾なの?

まさか……あの過去のふわふわの男の子と会ったのは、現実?

あの男の子と省吾がよく似ていることに今、気がついた。
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