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哀色夜伽草紙
第13章 哀色夜伽草紙
そして幸せの中、明るい満月の夜に私は男の子を出産した。

産んだ苦しみのあとに取り上げられ綺麗にしてもらった我が子と対面すると、丸い輪郭の子だった。

可愛い男の子だった。

目が開くと、丸くて垂れ目気味で……硝子玉のように綺麗な目をした男の子で、その顔にある真実に辿り着き青ざめてしまう。

そんな私の横で、息子を満足そうに抱く壱くんは目を潤ませていた。

その姿はどこから見ても我が子との対面に涙する慈愛に満ちた父親だった。

けれどそれは……

(ねぇ?誰の子?)

「ようこそ、幻想が作ったお伽噺のこの世へ」

「壱くん……な、んで……?」

私は省吾に抱かれたの?そんな筈はない。だとしたら……いつ入れ替わっていたの?

分からなくて壱くんを見上げれば壱くんが艶やかに微笑んだ。

「もう一つだけ省吾には条件を出したんだ。」

「え?」

「二度と琴莉と関わらない代わりに琴莉との子どもを作る権利をね」

まさか、行為の度に入れ替わっていたの?
フルフルと身体が震える。

「悔しいけどアイツと琴莉も運命で結ばれているなら、これで完結だと言ったんだ。琴莉もあいつの事は気に入っていたからら……」

だから省吾は条件を飲んだの?わからない。だけど……

「琴莉とオレと子どもと、一生幸せでいるためだよ、何も心配はいらないさ」

「そんな……」

「三人で幸せになろう」

壱くんが息子の額にキスを送ると私に抱かせた。

夜伽草子の先には、壱くんが作った幻想で彩ったお伽噺が待っていた。

その中で、幻想だと知りながら、私は壱くんを幸せにするのだ。

「うん、壱くん幸せになろう」

「ああ、きっと」

そう、私たちは幸せにならなくてはと決意して壱くんを見上げると、綺麗なブルーグレーの瞳を潤ませた壱くんが、手を広げて私と息子を一緒に抱きしめた。



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