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哀色夜伽草紙
第11章 天使の記憶
私の言葉に省吾が悲しそうに言った。

「知らない筈ないんだ、思い出してよ、思い出してくれ、これ見てもわからない?」

「ごめんなさい、わからない……」

急に指が背中に食い込むほど強く抱きしめられた。その強い抱擁の中、唇が重なってくる。

「ずっと好きなんだ」

「…ん…」

指が首筋を辿る。流されては駄目だと押し返しても敵わない。

抵抗しようとしても出来ず、省吾の指が首筋を辿る。

「オレとなら結婚だって出来る、子どもだって作れる……二人で家族になれるんだよ。昔約束した通りだよ?オレは琴莉を迎えに来たんだ」

省吾の綺麗な甘い声が哀しげに耳に響く。

「迎え……?」

「そうだよ、オレと貴女はあの時約束したんだ。だから長谷川なんかに渡さない、貴女の運命はオレと共にあるんだよ昔から!」

「運命……」

その時記憶のどこかが動いて、砂が風に舞うように目の奥にチラチラと粗い映像を見せた。

(これは記憶の残像?)

「泣かないで……」

可愛い声が私に話しかけた。

壱くんの家?
あれはおじいちゃんの部屋の隣?見たことがある風景だ。そこで泣いている少女がいて、その少女の中に自分が入っていく。

私が泣いている?

硝子玉のように澄んだ瞳がこちらを見ている。

「あなたは誰?……あなた…は……」

痛む。頭がいたい。

急に襲ってきた天地が引っくり返るような猛烈な痛さに耐えきれず省吾にしがみつく

「ああっ」

「琴莉?琴莉っ!大丈夫か?」

強い力に抱き止められ、そのまま暫し動けなかった。

そのまま朦朧とした私を省吾が抱き抱えタクシーに乗せ病院に連れてきてくれた。

そこで、私は少しずつお伽噺の続きを開いていくことになるのだった。
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