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哀色夜伽草紙
第9章 残酷な私
「琴莉さん?」

「え……あ、はい?」

羽田くんが書類を片手に不思議そうな顔でこちらを見ていた

「これで大丈夫ですか?」

「あ、うん平気ありがとう」

羽田くんはあれから淡々と業務をこなしている。私にあんなことをしたようには見えない。

身体の痕も消えた今、やはりあれは夢だったのではないかとさえ思えてきた。

昼休みに社食で食べたくなくて、あまり社員の居ない喫茶店のカウンターで食べていたら羽田くんがやってきた。

「琴莉さんが入っていくのが見えたから」

にこやかに羽田くんはそう言って隣に座ってきた。
いつの間にか彼は私を下の名前で呼ぶようになったなし、親しげなその態度に困惑していたけれど、周りを見ても会社の人はいないし、意を決して告げた。

「あのね羽田くん、ホテルでの事は私が悪かったけど、私はそんな気ないの。誤解させてたらごめんなさい」

「誤解?誤解なんてしてませんよ。琴莉さんがオレを好きになるのはこれからですから」

「だから、そんな気無い」

私の言葉を無視して、羽田くんが耳打ちをしてきた。

「あんなに可愛くヨガってたじゃない、嫌いじゃない筈だよ?」

フフと笑いながら唇をペロリと舐める動作をする。

「そ、それは……」

「貴女はオレのものになるんだよ、長谷川なんかに独占されてたまるか」

「どうして私なの?」

分からなかった。顔が特別可愛いとか綺麗なわけでもないし、何かに秀でてるわけでもないのは自覚している。

「貴女はオレの運命の人だから……オレが貴女を好きになったからですよ」

羽田くんは柔らかい唇だけの微笑みに、妖艶な目を纏いながらこちらを見て言った。

「貴女が好きです」

「や、やめて冗談は」

耐えきれずに顔を背けると、長くて綺麗な指がカウンターの下の膝の上にあった私の手を捕らえた。

「本気だよ」

「っ……」

捕まれた手が微かに震えた。抗えない彼の魅力に引き込まれそうだった。

「や、め…」

「貴女が好きです」

もう一度、そう言うとさっと手を離した。そして、急に邪気のなさそうな笑顔に変わったので戸惑ってしまう。

「食べましょう、昼休み終わっちゃいますから」

がらりと変わった空気に私は小さく息を吐きながら頷いた

「うん」

一体何故、そんなに私を?

横顔を盗み見ても、今の羽田くんからは何の感情も読み取れなかった
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