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哀色夜伽草紙
第9章 残酷な私

結局、辛くてそのまま母と一緒に実家に来て泊まった。
中々帰ってこないのだから良いでしょなどと言われて付いてきてしまったが、本当に有り難かった。
壱くんから電話やメッセージが来ていたけれど、取り敢えず全て無視した。
たぶん話してしまったら戻ってしまうのが分かっていたから。
そして翌日そのまま実家から出社する。
少し遠いが行けない距離ではない。何よりも家に帰りたくないという思ったからだった。
出社すると井坂課長が既に来ていて
「おはよう琴莉、早いな……そういやお前昨夜帰らなかったんだって?」
「え?」
「壱が琴莉を知らないかって連絡してきたぞ」
とても心配そうな井坂課長。本当に私たちに過保護だ。
「ごめんなさい、大丈夫です。具合が悪くて実家で寝てたんです」
そう言うと井坂課長はなるほどと頷く。そして、いやに真剣な顔に変わった。
「なぁ、そろそろ結婚してやれば?アイツからも言われてんだろ?それなら少しはアイツも安心すんじゃねーの?」
「それは……」
確かに何も事情を知らなければ、私たちに障害はないし、ここまでお互いを求めるなら結婚するのが自然だと思う。
けれど、もうそれも終わりだ。
「そんな顔すんな。まぁ立ち入った話をして悪い、色々あるよな」
よほど酷い顔をしていたのか井坂課長はすぐに発言を引っ込めた
「いえあの、ごめんなさい課長……実は私たち恋人じゃないんです、もう……だからもう心配しないでください」
「は?嘘だろ」
「いえ……壱くんは婚約したんです、私は単なる従兄妹ですから」
そんな話をしていると、まだ何か言いたそうな課長だったけらど他の人が出社してきて話すのをやめた。そして隣の席には羽田くんもやってきた。
「おはようございます」
「ん、お早う」
声を返すと羽田くんが私をいつになくジッと見つめてきたから、それを気づかないふりで横を向き躱して、仕事を始めた。
わからない。でも、何となく彼の顔が見られなかった。
中々帰ってこないのだから良いでしょなどと言われて付いてきてしまったが、本当に有り難かった。
壱くんから電話やメッセージが来ていたけれど、取り敢えず全て無視した。
たぶん話してしまったら戻ってしまうのが分かっていたから。
そして翌日そのまま実家から出社する。
少し遠いが行けない距離ではない。何よりも家に帰りたくないという思ったからだった。
出社すると井坂課長が既に来ていて
「おはよう琴莉、早いな……そういやお前昨夜帰らなかったんだって?」
「え?」
「壱が琴莉を知らないかって連絡してきたぞ」
とても心配そうな井坂課長。本当に私たちに過保護だ。
「ごめんなさい、大丈夫です。具合が悪くて実家で寝てたんです」
そう言うと井坂課長はなるほどと頷く。そして、いやに真剣な顔に変わった。
「なぁ、そろそろ結婚してやれば?アイツからも言われてんだろ?それなら少しはアイツも安心すんじゃねーの?」
「それは……」
確かに何も事情を知らなければ、私たちに障害はないし、ここまでお互いを求めるなら結婚するのが自然だと思う。
けれど、もうそれも終わりだ。
「そんな顔すんな。まぁ立ち入った話をして悪い、色々あるよな」
よほど酷い顔をしていたのか井坂課長はすぐに発言を引っ込めた
「いえあの、ごめんなさい課長……実は私たち恋人じゃないんです、もう……だからもう心配しないでください」
「は?嘘だろ」
「いえ……壱くんは婚約したんです、私は単なる従兄妹ですから」
そんな話をしていると、まだ何か言いたそうな課長だったけらど他の人が出社してきて話すのをやめた。そして隣の席には羽田くんもやってきた。
「おはようございます」
「ん、お早う」
声を返すと羽田くんが私をいつになくジッと見つめてきたから、それを気づかないふりで横を向き躱して、仕事を始めた。
わからない。でも、何となく彼の顔が見られなかった。

